JR四国2700系エンジンについて詳しく知りたい方へ、この記事ではJR四国2700系気動車及びその推進システムの概観から、搭載されているコマツ製SA6D140HE-2(DMF15HZ系)エンジンの詳細、さらにJR四国2700系における搭載と性能についてわかりやすく解説します。環境性能と規制準拠、運用面及び保守のポイントにも触れ、他の現代的DMU用エンジンとの簡単な比較も行います。2700系エンジンの魅力と特徴を総合的に知りたい方に役立つ内容です。
記事のポイント4つ
- 2700系エンジンの基本スペックと性能
- 2700系におけるエンジン搭載方法と推進システム
- 環境性能や排出ガス規制への対応状況
- 他のDMU用エンジンとの性能や特徴の比較
JR四国2700系エンジンの特徴
- JR四国2700系気動車及びその推進システムの概観
- コマツ製SA6D140HE-2(DMF15HZ系)エンジンの詳細
- JR四国2700系における搭載と性能
- 環境性能と規制準拠
JR四国2700系気動車及びその推進システムの概観
JR四国2700系気動車は、四国のカーブが多い路線で活躍する最新の特急ディーゼルカーです。従来の2000系気動車の後継として開発され、制御付自然振子方式を採用することで、曲線区間でも速度を維持しながら快適な乗り心地を提供します。
さらに、車両デザインには「Neo Japonisme」のコンセプトが採用されており、現代的でありながら日本の伝統美を感じさせる外観も特徴です。特急「南風」「しまんと」「うずしお」などに充当され、四国内の都市間輸送を支える重要な存在であり、本州との連絡輸送の利便性向上にも大きく貢献しています。最新のエンジンと振子技術が組み合わされ、スピードと快適性のバランスを両立したこの車両は、観光列車としての側面でも注目されています。
コマツ製SA6D140HE-2(DMF15HZ系)エンジンの詳細

2700系に搭載されるエンジンは、コマツ製SA6D140HE-2型(JR形式名DMF15HZ系)です。産業用エンジンをベースに鉄道車両用として水平配置に再設計され、1基あたり450馬力を発揮します。コモンレール式燃料噴射システムを採用し、燃焼効率の向上や有害排出物質の削減、静粛性に貢献する現代的なディーゼルエンジンです。
コマツSA6D140HE-2(DMF15HZ)エンジン主要諸元
項目 | 仕様 |
---|---|
製造者 | 株式会社小松製作所 (コマツ) |
型式 (コマツ / JR呼称) | SA6D140HE-2 / DMF15HZ |
種類 | 4ストローク水冷排気ターボ過給・アフタークーラー付直噴ディーゼルエンジン |
気筒配列 | 6気筒水平直列 |
総排気量 | 15.24 L |
シリンダー径 × 行程 | 140 mm × 165 mm |
燃料装置 | コモンレール式直接燃料噴射 |
定格出力 | 450 PS (331 kW) |
定格回転数 | 2,000 rpm |
最大トルク | 公開資料なし |
過給方式 | 排気ターボ過給機(空冷式アフタークーラー付) |
調速方式 | 電子制御式 |
排出ガス対策 | コモンレール技術による燃焼最適化(HE-2型の特定認証は資料にないが、HE-3型はUIC2/国土交通省2次規制に適合) |
JR四国2700系における搭載と性能

2700系では1両あたり2基のSA6D140HE-2エンジンを搭載し、合計900馬力の出力を確保。これにより、急勾配やカーブが連続する路線でも力強い加速と高速性能を実現しています。動力はDW24A型液体変速機を介して車軸に伝達され、滑らかな加速と130km/hの高速巡航を可能にしています。
JR四国2700系DMU – 推進・性能概要
項目 | 仕様 |
---|---|
車両製造者 | 川崎重工業株式会社(現・川崎車両株式会社) |
運用会社 | 四国旅客鉄道株式会社、土佐くろしお鉄道株式会社 |
エンジン型式 | コマツ SA6D140HE-2 (DMF15HZ) |
1車両あたりエンジン搭載数 | 2基 |
1エンジンあたり出力 | 450 PS (331 kW) @ 2,000 rpm |
1車両あたり総出力 | 900 PS (662 kW) |
代表的な編成 | 2両編成、3両編成 |
編成総出力 (2両) | 1,800 PS (1,324 kW) |
編成総出力 (3両) | 2,700 PS (1,986 kW) |
変速機 | DW24A型(液体式、変速2段・直結4段) |
設計最高速度 | 130 km/h |
車体傾斜装置 | 制御付自然振子方式(最大傾斜角5度) |
公称起動加速度 | 2.0 km/h/s |
環境性能と規制準拠

SA6D140HE-2エンジンは、コモンレールシステムによる燃焼最適化でNOx排出量を旧型比で60%削減しています。さらに、このシステムは燃料噴射のタイミングや圧力を電子的に最適制御することで、PM(粒子状物質)の発生抑制や燃費向上にも寄与しています。
日本国内の排出ガス規制に対応し、厳しい環境基準をクリアしつつ、メンテナンス性や耐久性のバランスも追求しています。クリーンディーゼル技術の採用により、環境に優しい鉄道車両の実現に貢献し、鉄道事業者の環境負荷軽減と社会的責任の達成に重要な役割を果たしています。
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2700系エンジンの実力と比較
- 運用面及び保守
- 他の現代的DMU用エンジンとの簡単な比較
運用面及び保守

このエンジンはJR四国以外のJR各社でも採用され、全国規模で信頼性の高さが証明されています。保守面では定期的なオイル交換やフィルター点検、コモンレール関連部品のメンテナンスが求められ、特にコモンレール式燃料噴射システムは高精度な管理が必要とされます。
さらに、各社での運用データを共有し、故障の傾向や劣化パターンを分析することで、予防保全の精度向上にも貢献しています。運用の中で排気マフラー形状の改良も行われており、これは排気ガスの拡散特性改善や車体への煤付着防止、騒音低減など複合的な目的を持っています。こうした改良は現場からのフィードバックを受けて継続的に行われ、運行の安全性と快適性を高める努力が続けられています。
他の現代的DMU用エンジンとの簡単な比較
SA6D140HE-2エンジンは、他の現代的DMU用エンジンと比べても高出力を誇ります。たとえばJR北海道のN-DMF13HZL(460PS)に近い性能を持ちつつ、2700系では1両に2基搭載し、合計900馬力という強力な出力を実現しています。この出力は、急勾配やカーブの多い路線でも高い運用能力を発揮するだけでなく、編成全体での走行安定性や高速巡航性能にも大きく寄与しています。
設計の共通性と高性能を両立しつつ、整備性や部品共通化によるコスト低減効果も見込まれています。さらに、SA6D140HE-2は産業用エンジンの技術を応用しているため、耐久性や信頼性に優れ、長期間の運用でも性能を維持できる点が評価されています。こうした特性により、2700系は四国の厳しい運行条件においても安定した輸送サービスを提供しています。
2700系 エンジンの特徴と総括
- JR四国2700系は四国のカーブが多い路線向けに開発された特急ディーゼルカー
- 制御付自然振子方式を採用しカーブでも高速走行が可能
- 車両デザインに「Neo Japonisme」を取り入れ現代性と伝統美を両立
- 2700系は特急「南風」「しまんと」「うずしお」などで運用されている
- エンジンはコマツ製SA6D140HE-2型を採用し450PSを発揮
- コモンレール式燃料噴射により燃焼効率と環境性能を高めている
- 1両に2基のエンジンを搭載し合計900PSを確保
- 動力はDW24A型液体変速機で伝達されスムーズな加速を実現
- 設計最高速度は130km/hで高速巡航性能を備える
- 車体傾斜装置は最大5度まで傾斜可能で乗り心地を向上
- NOx排出量を旧型比で60%削減する環境性能を持つ
- 保守は定期的なオイル交換や高精度なコモンレール管理が必要
- 排気マフラー形状の改良により騒音低減や煤付着防止を図っている
- 他社の現代DMU用エンジンと比べても高出力と高い信頼性を持つ
- 四国の急勾配やカーブが多い厳しい路線でも安定運行を実現している

