土讃線の普通列車での旅を計画しているけれど、どんな車両に乗れるのか気になっていませんか。旅の快適さや楽しみは、乗車する車両によって大きく変わることがあります。
この記事では、検索で土讃線 普通列車 車両情報を探しているあなたのために、主な車両形式やユニークな車内設備と座席タイプ、そして夏や冬の冷房・暖房など快適性について詳しく解説します。
さらに、時間帯による車両ごとの混雑状況や運行本数と使用車両の関係といった実用的な情報から、旅の思い出になる土讃線沿線で見られる珍しい車両、息をのむような車両の窓から見える絶景ポイント、そして未来に向けた土讃線の車両更新計画まで、あらゆる角度から深く掘り下げていきます。この記事を読めば、あなたの土讃線の旅がより一層豊かなものになるはずです。
- 土讃線を走る普通列車の主力車両とその特徴がわかる
- 快適な乗車に役立つ車内設備や混雑状況を把握できる
- 観光に役立つ珍しい車両や車窓の見どころがわかる
- 新型車両の導入など土讃線の未来の姿を理解できる
押さえておきたい土讃線の普通列車に使われる車両の特徴

土讃線を走る普通列車には、どのような車両が使われているのでしょうか。ここでは、現在活躍する主力車両から、特徴的な車内設備、そして未来の車両計画まで、知っておくべき基本的な情報を解説します。
- 主力は1000形気動車!主な車両形式
- 千鳥配置が特徴的な車内設備と座席タイプ
- 夏も冬も快適?冷房・暖房など快適性について
- 新型ハイブリッドへ!土讃線の車両更新計画
- ラッピング列車も!土讃線沿線で見られる珍しい車両
主力は1000形気動車!主な車両形式
現在の土讃線(非電化区間)の普通列車で主役を担っているのは、JR四国が1990年に導入した1000形気動車です。この車両は、JR四国が発足して初めて自社で開発した一般形車両であり、まさに土讃線を走るために生まれてきたと言えます。
その理由は、搭載されている高性能エンジンにあります。これは、かつて特急「南風」で使われていたエンジンをさらに強化したもので、25‰もの急勾配が連続する土讃線の山岳区間を力強く走行する能力を持っています。車体には軽量で錆びにくいステンレスが採用されており、長期間の活躍を支えています。
また、1000形をベースに改造された1200形という車両も存在します。こちらは、車内にバリアフリー対応の大型洋式トイレを設置した点が大きな違いです。トイレ設置に伴い一部の座席が撤去されていますが、基本的な性能は1000形と共通で、しばしば連結して運用されています。
ちなみに、2025年3月までは国鉄時代末期に製造されたキハ32形も活躍していました。この車両は製造コストを徹底的に抑えた「レールバス」思想で作られており、1000形とは対照的な存在でしたが、一つの時代が終わりを告げ、土讃線の普通列車はJR化後の車両にほぼ統一されました。
項目 | 1000形 / 1200形 | (参考)キハ32形 |
導入年 | 1990年 | 1987年 |
車体 | ステンレス鋼 | 鋼製 |
全長 | 約21m | 約16m |
エンジン | コマツ製 SA6D125-H (強化版) | DMF13HS (250PS) |
座席配置 | セミクロスシート(千鳥配置) | オールロングシート |
トイレ | 1000形:一部あり / 1200形:あり | なし |

千鳥配置が特徴的な車内設備と座席タイプ
土讃線の主力車両である1000形の車内は、他の地域の列車ではあまり見られないユニークな座席配置が採用されています。これは「千鳥配置」と呼ばれるセミクロスシートで、通路を挟んで片側が窓を背にする4人掛けのボックスシート(クロスシート)、もう一方が壁に沿って長いすが続くロングシートとなっています。
この配置の最大のメリットは、多様な乗客のニーズに一台で応えられる点にあります。例えば、高知都市圏の通勤・通学ラッシュ時には、ロングシート部分が多くの立ち客を収容するのに役立ちます。一方で、山間部を長時間移動する観光客や旅行者は、ボックスシートでゆったりと車窓の景色を楽しんだり、グループで向かい合って座ったりすることが可能です。
さらに興味深いのは、車両の中央にある乗降扉を境にして、このクロスシートとロングシートの配置が左右入れ替わる点です。これにより、乗客がどちらの扉から乗っても、両方のタイプの座席にアクセスしやすくなっています。
対照的に、かつて活躍したキハ32形の車内は、コスト削減を優先したオールロングシートで、トイレもありませんでした。このことからも、1000形が設計段階から快適性と輸送力の両立をいかに重視していたかがうかがえます。1200形では、前述の通りバリアフリー対応トイレが追加され、長距離の乗車でもより安心して利用できるようになっています。
夏も冬も快適?冷房・暖房など快適性について
土讃線の旅において、車内の快適性は重要な要素です。現在の主力車両である1000形および1200形は、もちろん冷房・暖房装置を完備しており、一年を通して快適な車内環境が保たれています。四国の夏は暑く、冬の山間部は冷え込みが厳しいため、これらの空調設備は必要不可欠です。
ただし、駅での停車時には注意が必要です。特に山間部の駅では、車内の温度を保つためにドアが自動で開かない「半自動」扱いになることがあります。この場合、ドアの横にあるボタンを押して自分で扉を開閉する必要があります。乗降客が少ない駅では、乗客が自分でドアを閉めるのがマナーとなっており、車内の快適性を皆で維持する工夫が見られます。
一方で、すでに引退したキハ32形のような国鉄末期の車両は、あくまで「ローカル線の輸送を維持する」ことを最優先に設計されていました。そのため、現代の車両と比べると、空調の効きや静粛性といった快適性の面では一歩譲る部分があったことも事実です。現在の土讃線では、JR化後に快適性を重視して設計された車両が中心となっているため、安心して旅行を楽しむことができるでしょう。
新型ハイブリッドへ!土讃線の車両更新計画

ハイブリッド式ローカル車両外観イメージ 画像出典:JR四国
土讃線を走り続けてきた気動車たちにも、世代交代の波が訪れています。JR四国は2024年2月、老朽化した車両を置き換えるために、同社初となる新型のハイブリッド式車両を導入する計画を正式に発表しました。
シリーズハイブリッド方式の採用
この新型車両に採用されるのは「シリーズハイブリッド方式」という先進的なシステムです。これは、ディーゼルエンジンを走行に直接使うのではなく、発電専用として使用します。そして、エンジンで生み出した電力と、ブレーキ時に発生するエネルギーを回収して蓄電池に貯めた電力(回生ブレーキ)を組み合わせ、モーターを回して走行する仕組みです。
これにより、従来の気動車に比べて燃費が大幅に向上し、CO₂排出量や騒音も大きく低減される見込みです。また、駅での停車中にはエンジンを停止させるアイドリングストップ機能も搭載され、環境性能と静粛性の向上が期待されます。
デザインと導入スケジュール
車両のデザインは、ステンレスの車体をベースに、JR四国のコーポレートカラーであるライトブルーと、四国の自然をイメージしたゴールドのラインが配される予定です。
導入は段階的に進められ、まず2025年12月に量産先行車が登場し、各種試験が行われます。順調に進めば、2026年度中には営業運転が開始される予定です。その後、2027年度から量産が始まり、将来的には1000形なども含めたJR四国の非電化区間の新たな標準車両となっていく計画です。高知地区からキハ32形が引退したことは、この大規模な車両更新の始まりを告げる出来事だったと言えます。
項目 | 詳細 |
駆動方式 | シリーズハイブリッド方式 |
編成 | 2両1編成 |
最高速度 | 100 km/h |
製造会社 | 近畿車輛株式会社 |
導入開始 | 2026年度中(営業運転予定) |
ラッピング列車も!土讃線沿線で見られる珍しい車両

土讃線では、日々の通勤・通学輸送を担う通常の車両だけでなく、旅をより楽しくしてくれるユニークな車両に出会えることがあります。これらは、単なる移動手段としてだけでなく、乗ること自体が目的となるような魅力を持っています。
土佐くろしお鉄道9640形
高知駅から東へ向かうと、後免駅から第三セクターである土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線に乗り入れる列車があります。この直通運用には、同社のオリジナル車両「9640形(くろしおがた)」が使われます。この車両はJR四国の1000形と連結して走ることも可能で、車内はロングシートと背もたれの高いクロスシートを組み合わせた独特のレイアウトです。 特に注目すべきは、一部にあるオープンデッキ付きの車両です。
クジラのイラストが描かれたこの車両は、普通運賃だけで乗車でき、窓のない開放的な空間から沿線の風を肌で感じることができます。また、プロ野球・阪神タイガースのラッピングを施した車両もあり、乗客の目を楽しませています。
季節限定の観光列車
厳密には徳島線を走る列車ですが、終点の阿波池田駅で土讃線に乗り入れる観光列車「藍よしのがわトロッコ」も見逃せません。春と秋の週末を中心に運行され、窓のないトロッコ車両から吉野川の雄大な渓谷美を満喫できます。全席指定で予約が必要ですが、特別な列車旅を体験したい方にはおすすめです。
期間限定の記念ラッピング
JR四国では、特定のイベントに合わせて既存の車両に特別なラッピングを施すこともあります。過去には、高知県が舞台となったNHK連続テレビ小説「らんまん」の放送を記念して、1000形に番組のPRラッピングが施され、高知駅で出発式が行われました。このような列車に偶然出会えれば、旅の良い記念になるでしょう。
もっと楽しむ!土讃線の普通列車に使われる車両の特徴

車両の基本的なスペックを知った上で、実際の運用状況や楽しみ方を知れば、土讃線の旅はさらに奥深くなります。ここでは、運行の実態から混雑状況、そして車窓の魅力まで、一歩踏み込んだ情報をお届けします。
- 都市圏と山間部での運行本数と使用車両の関係
- 時間帯で違う?車両ごとの混雑状況
- 電化・非電化で異なる車両ラインナップ
- スイッチバック!車両の窓から見える絶景ポイント
- 旅の計画に役立つ土讃線普通列車車両情報まとめ
都市圏と山間部での運行本数と使用車両の関係
土讃線の普通列車は、走る区間によってその姿を大きく変えます。これは、JR四国が路線の特性と輸送需要に合わせて、極めて戦略的に車両を運用しているためです。
最も運行本数が多いのは、高知市を中心とする都市圏エリア(西は伊野駅、東は土佐山田駅あたりまで)です。この区間は通勤・通学需要が高く、朝夕のラッシュアワーには主力である1000形気動車が2両から4両に増結され、集中的に投入されます。列車は比較的高頻度で運行され、地域の足として重要な役割を担っています。
一方、この都市圏を離れて四国山地へと分け入る山岳区間では、状況は一変します。例えば、土佐山田駅から大歩危駅方面や、阿波池田駅から琴平駅方面へ向かう区間では、普通列車の本数は1日に上下それぞれ5~6本程度にまで激減します。これらの区間では、1000形が1両(単行)または2両の短い編成で、険しい山道を駆け抜けていきます。
このように、土讃線は高知都市圏という「ハブ」に輸送力を集中させ、そこから伸びる山間部の「スポーク」区間は、地域の生活を支える最低限の交通手段として維持するという、非常にメリハリの効いた運用が行われているのです。
時間帯で違う?車両ごとの混雑状況
土讃線の普通列車の混雑状況は、乗車する区間と時間帯によって大きく異なります。計画を立てる上でこの点を理解しておくことは、快適な旅の鍵となります。
最も混雑が激しくなるのは、前述の通り高知都市圏における平日の朝夕ラッシュアワーです。特に朝は、伊野方面や土佐山田方面から高知駅へ向かう上り列車が、通学の学生や通勤客で大変混み合います。この時間帯は2両から4両編成で運転されますが、座席はほぼ埋まり、立ち客も多くなります。ゆったりと旅を楽しみたい場合は、この時間帯を避けるのが賢明です。
逆に、平日の日中や土休日は、都市圏であっても比較的空いていることが多く、座席を確保しやすいでしょう。
そして、高知都市圏を離れた山間部の区間では、ラッシュ時という概念はほとんどありません。列車は1両か2両編成と短いですが、乗客も少ないため、年間を通してほぼ確実に座ることができます。むしろ、静かな車内で窓の外に広がる雄大な自然を独り占めするような、贅沢な時間を過ごせる可能性が高いです。ただし、沿線のイベント開催時や観光シーズンには、一部の列車が思いがけず混雑することもあるため、注意が必要です。
電化・非電化で異なる車両ラインナップ
土讃線の車両を理解する上で非常に大切なのは、この路線が「電化区間」と「非電化区間」という二つの顔を持っている点です。そして、どちらの区間を走るかによって、運用される車両の種類が全く異なります。
電化区間を走る「電車」
土讃線の北側、香川県の多度津駅から琴平駅までの区間は、架線が張られた「電化区間」です。この区間では、予讃線を走る高松方面からの普通列車がそのまま乗り入れてきます。ここで活躍するのは、パンタグラフで架線から電気を取り込んで走る7200系や7000系といった「電車」です。エンジンを搭載していないため、走行音は非常に静かです。


非電化区間を走る「気動車」
一方、観光名所である金刀比羅宮の最寄り駅、琴平駅を境にして、高知・窪川方面へ向かう南側の区間はすべて「非電化区間」となります。架線がないため、電車は走ることができません。 この険しい山岳ルートを走破するのが、1000形をはじめとする「気動車(ディーゼルカー)」です。自前のディーゼルエンジンで発電もしくは直接動力を得て走行するため、力強いエンジン音が特徴です。

このように、土讃線は琴平駅を明確な境界として、走る車両が「電車」と「気動車」にはっきりと分かれています。もし土讃線を端から端まで乗り通す旅を計画する場合は、途中で必ず乗り換えが発生することを覚えておくと良いでしょう。
スイッチバック!車両の窓から見える絶景ポイント

土讃線の魅力は、個性的な車両だけではありません。特に山岳区間では、普通列車のゆっくりとした速度だからこそ楽しめる、息をのむような絶景が車窓に広がります。
坪尻駅のスイッチバック
土讃線のハイライトと言えば、徳島県にある坪尻駅のスイッチバックです。ここは急な斜面の途中にある駅で、列車は一度通り過ぎてからバックで駅のホームに入り、再び進行方向を変えて出発するという、珍しい運転方法が取られています。 普通列車でしか訪れることのできない「秘境駅」としても知られ、列車が何度も向きを変えながら急勾配に挑む様子を車内から見ていると、鉄道技術の面白さと自然の厳しさを同時に体感できます。運転士や車掌が慌ただしく車内を移動する様子も、スイッチバックならではの光景です。
大歩危・小歩危の渓谷美
徳島県の阿波池田駅と高知県の大杉駅の間では、列車は吉野川が作り出した深い渓谷「大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)」に沿って走ります。エメラルドグリーンの川面と、ごつごつとした岩肌が織りなす風景は圧巻の一言です。特急列車ではあっという間に通り過ぎてしまう区間も、普通列車ならのんびりと景色を堪能できます。窓側の座席を確保して、大自然のアートをじっくりと楽しむのがおすすめです。
これらの絶景は、強力なエンジンで険しい山道を走破する土讃線の普通列車だからこそ味わえる、特別な体験と言えるでしょう。
旅の計画に役立つ土讃線の普通列車に使われる車両の特徴まとめ
これまで解説してきた土讃線の普通列車に関する情報を、最後に要点としてまとめます。あなたの旅がより快適で思い出深いものになるよう、これらのポイントをぜひ参考にしてください。
- 土讃線の非電化区間を走る普通列車の主力は1000形・1200形
- 1000形は急勾配に対応する高性能エンジンを搭載している
- 車内はボックスシートとロングシートを組み合わせた「千鳥配置」
- 1200形はバリアフリー対応の大型トイレを設置している
- 通勤・通学ラッシュと長距離利用の両方に対応できる設計
- 2025年3月に国鉄時代のキハ32形が高知地区から引退した
- 多度津~琴平間の電化区間は7000系などの「電車」が走る
- 琴平以南の非電化区間は1000形などの「気動車」が走る
- 高知都市圏(伊野~土佐山田)は運行本数が多く編成も長い
- 山間部の区間は運行本数が少なく1~2両の短い編成で走る
- 混雑は平日の朝夕、高知都市圏に集中する
- 山間部では日中を中心に非常に空いていることが多い
- 坪尻駅では珍しいスイッチバックを体験できる
- 大歩危・小歩危の渓谷美は車窓のハイライトの一つ
- 2026年度から新型のハイブリッド車両が順次導入される予定