JR四国が誇る最新特急車両である2700系について、なぜ多くの人が2700系はかっこいいと感じるのか、その理由を探している方も多いのではないでしょうか。2700系のデザイン特徴は、単なる見た目の美しさだけではありません。
印象的な先頭車両のスタイリングや、グリーンとシルバーの車体色の組み合わせ、さらには夜間に映えるライトデザインに至るまで、すべてに意味が込められています。
また、旧型車両との見た目の違いを知ることで、その進化がより明確に理解できます。もちろん、外観だけでなく、走行中の迫力ある姿や、快適性を追求した車内インテリアの魅力も大きな要因です。この記事では、鉄道ファンに人気の理由や、撮影スポットで映える2700系の姿など、多角的にその魅力を解き明かしていきます。
- 2700系の外観デザイン(色や形)に込められた意味
- 旧型車両や兄弟車(2600系)との決定的な違い
- カーブを高速で駆け抜ける「走り」の技術的な秘密
- 快適な車内空間と鉄道ファンを惹きつける背景
なぜ2700系はカッコいい?外観の秘密
- 2700系のデザイン特徴
- 先頭車両のスタイリング
- グリーンとシルバーの車体色
- 夜間に映えるライトデザイン
- 旧型車両との見た目の違い
2700系のデザイン特徴

2700系のデザインコンセプトは「Neo Japonisme(ネオジャポニスム)」です。これは、日本の伝統的な意匠を現代風にアレンジするという考え方で、先行する2600系から受け継がれています。
このコンセプトを最も象徴しているのが、車体のカラーリングです。
車体全体を彩る「ディープレッド(深紅)」は、徳島県の阿波おどりや高知県のよさこい祭りが持つ「情熱」を表現しています。
アクセントとして配置される「ゴールド(金色)」は、吉兆を示す日本の伝統色です。そして、2700系で新たに追加された「グリーン(緑色)」のラインは、香川県特産のオリーブと、岡山県の名産であるマスカットをイメージしています。
このように、2700系のデザインは単におしゃれなだけでなく、列車が結ぶ各県の文化や特産品という「物語」を背負っています。地域性を色で表現し、その土地の誇りを乗せて走る姿が、表面的な美しさを超えた「かっこよさ」を生み出しているのです。
先頭車両のスタイリング

2700系の「顔」である先頭車両は、力強さと洗練さを兼ね備えています。貫通扉の周りは、兄弟車である2600系と似たX字の配色が採用されていますが、色の配置を変えることで独自の個性を主張しています。
特に目を引くのは、車体側面にも大きく記された「EXPRESS 2700」というロゴです。これにより、JR四国の次世代を担う特急車両としてのアイデンティティが確立されました。
また、機能面から生まれたデザインも特徴的です。2700系はカーブで車体を大きく傾ける「振り子機能」を最大限に発揮するため、車体の裾(すそ)部分が従来車よりも大きく絞り込まれた形状をしています。これは、車体が傾いた際にホームやトンネルと接触するのを防ぐための設計です。厳しい条件下で最高の性能を出すために計算された機能的なフォルムが、そのスタイリングの「かっこよさ」を一層引き立てています。
グリーンとシルバーの車体色

2700系の車体で深紅と共に印象的なのが、メタリックな輝きを放つシルバーと、鮮やかなグリーンのラインです。
車体の基本となるシルバーは、ステンレス鋼の地の色を活かしたものです。ステンレス車体は、塗装を全面的に施す必要がないためメンテナンス性に優れ、軽量化にも貢献します。この無垢な金属の質感(シルバー)が、深紅の情熱的な色合いと対比されることで、都市的でシャープな印象を与えます。
前述の通り、新たに追加されたグリーンのラインは、香川のオリーブと岡山のマスカットという「実り」を象徴しています。深紅が「情熱」を、シルバーが「先進性」を、そしてグリーンが「豊かさ」を表現し、これら三つの要素が組み合わさることで、複雑で奥行きのあるカラーデザインが完成しています。
夜間に映えるライトデザイン
2700系は、夜間の走行時にもその「かっこよさ」を際立たせる照明デザインを持っています。
まず、前方を照らすヘッドライトには、高輝度で省電力な白色LEDが採用されています。これにより、夜間でも非常に明るく、シャープな光で前方を照らし出します。さらに、運転席の上部にもライトが設置されており、特急車両としての存在感を強くアピールします。

また、特徴的なのがテールライトです。後方への視認性を高めると同時に、デザイン上のアクセントとして、三角形に近い独特な形状のテールライトが採用されています。
外観だけでなく、車内の照明も洗練されています。客室にはLEDの間接照明が効果的に用いられており、夜間には車窓から漏れる光が、温かみと先進性を感じさせます。これらの光の演出が、昼間とは異なる夜間走行の魅力を引き出しています。
旧型車両との見た目の違い
2700系のデザインは、長年活躍してきた2000系や、先行開発された2600系との比較によって、その特徴がより明確になります。
2000系との違い

2000系は普通鋼製で、車体全体が塗装されていました。丸みを帯びた流線形の先頭形状が特徴です。
一方、2700系はステンレス鋼製で、シルバーの地色に帯(カラーフィルム)を貼るスタイルです。これにより、非常にシャープで近代的な外観となりました。また、先頭形状も、2000系の丸みとは対照的に、平面と曲線を組み合わせた精悍な「顔つき」になっています。
2600系との違い

見た目がよく似ている2600系との最大の違いは、車体傾斜方式にあります。2600系は空気ばね式(最大傾斜角2°)ですが、2700系は制御付自然振り子式(最大傾斜角5°)を採用しました。
この「5°」という大きな傾斜角を実現するため、前述の通り、2700系は2600系よりも車体の裾が大きく絞り込まれています。この裾絞りの形状の違いが、両車を見分ける一つのポイントであり、2700系の高性能を象徴するデザイン上の特徴となっています。
| 特徴 | 2000系 | 2600系 | 2700系 |
| デビュー年 | 1989年 | 2017年 | 2019年 |
| 車体材質 | 普通鋼 | ステンレス鋼 | ステンレス鋼 |
| 車体傾斜方式 | 制御付自然振り子式 | 空気ばね式 | 制御付自然振り子式 |
| 最大傾斜角度 | 5° | 2° | 5° |
| 客席コンセント | なし | 全席 | 全席 |

走りも魅力!2700系がカッコいい理由
- JR四国が誇る最新特急車両
- 走行中の迫力ある姿
- 車内インテリアの魅力
- 撮影スポットで映える2700系
- 鉄道ファンに人気の理由
- まとめ:JR四国 2700系がかっこいい魅力
JR四国が誇る最新特急車両

2700系は、2019年に営業運転を開始した、JR四国の最新鋭特急形気動車です。長年にわたり四国の特急網を支えてきた2000系の後継車両として開発されました。
現在では、岡山と高知を結ぶ「南風」や、高松と徳島を結ぶ「うずしお」といった、四国の最重要幹線で主力として活躍しています。まさに、現代のJR四国の「顔」とも言える存在です。
この車両は、単に古い車両を置き換えただけではありません。強力なエンジンによる高い走行性能、後述する優れた乗り心地、そして全席コンセントなどの現代的な車内設備を備え、JR四国が未来に向けて提供するサービスのスタンダードを示す車両となっています。その信頼性と性能の高さから、2020年には鉄道友の会が選定する「ローレル賞」を受賞しており、専門家からも高く評価されています。
走行中の迫力ある姿
2700系の「かっこよさ」を語る上で欠かせないのが、走行中の姿、特にカーブを通過する際の迫力です。
この車両の心臓部には、「制御付自然振り子方式」という車体傾斜システムが搭載されています。これは、カーブに差し掛かると車体が自動的に内側へ最大5°傾斜する技術です。
この機能により、カーブでも速度をあまり落とさずに走行できます。例えば、半径600mのカーブでは、通常の車両よりも時速30km/hも速い速度で通過することが可能です。
四国、特に土讃線のような山岳路線は急カーブが連続します。そのカーブ区間を、車体をダイナミックに傾けながら高速で駆け抜けていく姿は、まさに圧巻の一言です。この卓越した走行性能こそが、2700系の機能的な「かっこよさ」の源泉と考えられます。

車内インテリアの魅力

2700系は、外観や走りだけでなく、車内空間(インテリア)も非常に魅力的です。
普通車を含む全ての座席の肘掛けにコンセントが設置されており、スマートフォンやノートパソコンの充電に困ることがありません。現代の乗客のニーズに完全に対応した設備です。
座席のリクライニング機構も工夫されています。背もたれを倒すと、連動して座面が少し前方にスライドするタイプを採用しました。これにより、後ろの席の乗客に与える圧迫感を最小限に抑えつつ、快適な姿勢を保つことができます。もちろん、大型テーブルやドリンクホルダー、コートフックも完備されています。
照明にはLEDが採用され、間接照明を効果的に使うことで、先進的でありながらも落ち着きのある空間を演出しています。また、半室グリーン車は2+1列のゆったりした座席配置で、さらに上質な移動時間を提供しています。

撮影スポットで映える2700系

2700系は、そのデザインと性能から、多くの撮影スポットで非常に「映える」車両です。
この車両の魅力を最大限に引き出す場所として、やはり「カーブ区間」が挙げられます。前述の通り、車体を最大5°傾けて走る姿を捉えることができるためです。特にカーブが連続する土讃線は、2700系の振り子機能を撮影するのに最適な路線と言えます。
例えば、土讃線の大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)峡では、吉野川の雄大な渓谷美の中、橋梁を渡る2700系を撮影できます。また、同じく土讃線の讃岐財田(さぬきさいだ)~黒川(くろかわ)間にある急カーブ(通称:財田カーブ)も、車体を大きく傾けて走る迫力ある姿を捉えられる定番スポットとして知られています。
さらに、深紅を基調とした車体色は、四国の豊かな自然(緑の山々や青い空、川)とのコントラストが鮮やかです。こうした背景の中で撮影することで、2700系のデザインが一層際立ちます。
鉄道ファンに人気の理由

2700系が多くの鉄道ファンから支持され、「かっこいい」と評される背景には、その誕生の物語と技術的な奥深さがあります。
実は、2700系が登場する前、JR四国は2600系という新型車両を開発していました。しかし、2600系が採用した「空気ばね式」の車体傾斜は、土讃線のような連続カーブ区間では性能維持に課題があることが判明しました。
この結果を受け、JR四国は2600系の量産を中止するという大きな決断を下します。そして、自社が長年培ってきた「制御付自然振り子方式」に再び立ち返り、それを現代の技術で改良して搭載したのが、この2700系なのです。
失敗から学び、安易な妥協をせず、自らの路線環境に最適な技術を選択するという真摯な姿勢。そして、2600系の優れた客室設備と、実績ある振り子技術を融合させて「集大成」とも言える車両を生み出したこと。この開発ストーリーと技術へのこだわりが、多くのファンの心を掴んでいます。


まとめ:JR四国2700系がカッコいい魅力
JR四国2700系がかっこいいと評される理由は、その多層的な魅力の統合にあります。
- デザインコンセプトは「ネオジャポニスム」
- 車体の深紅は阿波おどりとよさこいの「情熱」を表現
- ゴールドのラインは「吉兆」を示す伝統色
- グリーンのラインは香川のオリーブと岡山の「実り」
- 地域文化を背負う「動くアンバサダー」としてのデザイン
- 先頭はX字の配色と「EXPRESS 2700」のロゴで個性を確立
- 車体裾の大きな絞り込みは高性能な振り子のための機能美
- シルバーのステンレス車体が先進性を演出
- ヘッドライトは高輝度な白色LEDを採用
- テールライトは特徴的な三角形のデザイン
- 旧型2000系とは異なるシャープなステンレスボディ
- 兄弟車2600系より傾斜角が深く(5°)、裾が絞られている
- カーブを高速で駆け抜ける「制御付自然振り子方式」
- 車体をダイナミックに傾ける走行中の迫力
- ローレル賞受賞歴が示す専門家からの高い評価
- 2600系の課題を克服して誕生した開発ストーリー
- 全席コンセント完備など現代的な車内インテリア
- 土讃線の渓谷や予讃線のカーブなど撮影スポットで映える姿


