JR四国を利用して松山へ旅行を計画しているけれど、SuicaやICOCAなどの交通系ICカードが松山駅で使えるのか気になっていませんか。この記事では、松山駅でICカードが使えない理由から、旅行者が注意すべき切符の買い方、そして松山駅の自動券売機での操作方法まで、あなたの疑問にすべてお答えします。
さらに、観光客に便利な切符の種類や、人気の観光地である道後温泉へのアクセス方法、伊予鉄道への乗り換えとICカード利用可否についても詳しく解説。松山空港から松山駅までの交通手段や、松山駅周辺で利用できるキャッシュレス決済の情報も網羅しています。
この記事を最後まで読めば、観光客が戸惑いやすいポイントと対策が明確になり、失敗や後悔のないスムーズな松山旅行が実現できます。JR四国での今後のICカード導入予定に関する最新情報にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
- JR松山駅で全国交通系ICカードが利用できない具体的な理由
- ICカードが使えない代わりの切符購入方法と注意点
- 伊予鉄道(路面電車・バス)でのICカード利用状況
- 松山市内の観光や移動をスムーズにするための実践的な知識
JR四国でICカードが使えない松山の現状
- 松山駅でICカードが使えない理由
- 旅行者が注意すべき切符の買い方
- 松山駅の自動券売機での操作方法
- 観光客に便利な切符の種類
- 観光客が戸惑いやすいポイントと対策
松山駅でICカードが使えない理由

松山駅で全国相互利用の交通系ICカードが使えない最大の理由は、JR四国の経営戦略と投資の優先順位にあります。JR四国は他のJR各社と比較して経営基盤が盤石とは言えず、限られた資金をどこに投下するかが常に問われている状況です。
このような背景から、同社は乗客の利便性向上よりも、安全な運行を維持するための設備投資を最優先しています。具体的には、老朽化したインフラの更新や自然災害への対策、橋梁の耐震補強といった、日々の安全に直結する分野へ集中的に投資を行っているのです。
ICカードシステムの導入には、改札機やサーバーの設置といった莫大な初期費用に加え、継続的な維持管理コストが発生します。現在の経営環境下では、このコストを安全関連投資よりも優先することは難しいと判断されています。
2024年9月に開業した近代的な高架の新駅舎に、あえてICカード機能のない自動改札機が設置されたのは、この経営判断を象徴する出来事です。改札業務の効率化というメリットは享受しつつ、ICカードシステムへの巨額投資は回避するという、現実的な選択がなされた結果と考えられます。
旅行者が注意すべき切符の買い方
JR松山駅ではICカードが利用できないため、乗車前に必ず紙の切符を購入する必要があります。購入方法はいくつかありますが、特に遠方からの旅行者が注意すべき点も存在します。
きっぷの主な購入場所
- 自動券売機: 駅に設置されており、主に近距離の普通乗車券の購入に適しています。操作はタッチパネル式で直感的ですが、特急券や複雑な経路の切符には対応していない場合があります。
- みどりの窓口: 駅係員と対話しながら、長距離の乗車券や特急券、指定席券、乗り放題きっぷなどを購入できます。経路の相談もできるため、初めての区間を旅行する際に安心です。
- みどりの券売機プラス: オペレーターと通話しながら購入できる高機能な券売機です。みどりの窓口が混雑している場合や、営業時間外でも指定席券などを購入できるメリットがあります。
オンライン予約「e5489」利用時の最重要注意点
JR西日本・四国が運営するオンライン予約サービス「e5489」は、事前にスマートフォンやPCから指定席を予約・決済できるため大変便利です。しかし、利用には絶対に知っておくべき注意点があります。
それは、予約・決済が完了しただけでは列車に乗車できない、という事実です。乗車前には必ず、駅の「みどりの窓口」や「みどりの券売機」で、予約情報を基に物理的な紙の切符を発券する必要があります。
この発券作業には、予約時に使用した「クレジットカード現物」が必須となります。クレジットカードを忘れてしまうと、たとえ予約番号を控えていても切符を受け取れず、最悪の場合、旅行の計画変更を余儀なくされる可能性もあるため、細心の注意が必要です。
松山駅の自動券売機での操作方法

松山駅には複数の券売機が設置されており、それぞれの役割が異なります。
まず、改札口の近くにある一般的な自動券売機は、主に近距離の普通乗車券を購入するためのものです。壁に掲示された運賃表で行き先までの金額を確認し、券売機の画面で該当する金額のボタンを押して、現金を投入するというシンプルな操作で購入できます。ただし、これらの券売機は現金専用の場合が多く、クレジットカードや電子マネーは利用できません。
一方で、「みどりの券売機」または「みどりの券売機プラス」という名称の紫色の高機能な券売機もあります。こちらでは、現金だけでなくクレジットカードも利用可能です。タッチパネルの案内に従い、乗車日、区間、列車の種類(特急など)、座席の種類(指定席・自由席)を選択していくことで、長距離の切符や特急券も購入できます。操作に迷った場合は、「みどりの券売機プラス」であればオペレーターを呼び出して相談することも可能です。
観光客に便利な切符の種類

乗車ごとに切符を購入する以外にも、JR四国では旅行スタイルに合わせて利用できるお得な企画きっぷを販売しています。これらを活用することで、交通費を大幅に節約できる可能性があります。
代表的なものに「週末乗り放題きっぷ」があります。これは、土・日・祝日の連続する2日間、JR四国全線の特急列車自由席が乗り放題になるきっぷです。松山を拠点に、宇和島や高知方面へ足を延ばすといった広範囲の周遊を計画している場合に非常に有効です。
また、「バースデイきっぷ」のように、誕生月に利用できる特別な割引切符も存在します。これらの企画きっぷは、利用条件や販売期間が定められているため、旅行計画を立てる際にJR四国の公式サイトで最新情報を確認することが大切です。購入は「みどりの窓口」やJR四国ツアーなど一部の旅行会社で行えます。
観光客が戸惑いやすいポイントと対策
松山を訪れる観光客が最も戸惑いやすいのは、やはり首都圏や関西圏と同じ感覚でICカードを使おうとして、改札で止められてしまうケースです。対策としては、「JR松山駅ではICカードは使えない」という事実を旅行前に認識し、現金やクレジットカードを準備しておくことが基本となります。
次に注意したいのが、ICカードエリアからの「エリアまたぎ」です。例えば、JR四国のICOCAエリアである高松駅からICカードで入場し、エリア外の松山駅で降りることはできません。この場合、降車時に駅係員による精算処理が必要となり、乗車駅から降車駅までの全区間の運賃を現金で支払う必要があります。さらに、使用したICカードにはエラー記録が残り、次回利用する前にエリア内の駅で解除処理をしてもらわなければならず、非常に手間がかかります。
このような事態を避けるため、ICカードエリアとエリア外をまたいで移動する場合は、必ず出発駅で目的地までの全区間の乗車券を購入するようにしてください。
JR四国ICカード松山導入は?市内交通も解説
- 伊予鉄道への乗り換えとICカード利用可否
- 松山駅から道後温泉へのアクセス方法
- 松山空港から松山駅までの交通手段
- 松山駅周辺で利用できるキャッシュレス決済
- JR四国での今後のICカード導入予定
- JR四国ICカード松山の要点まとめ
伊予鉄道への乗り換えとICカード利用可否

JR松山駅ではICカードが使えませんが、松山市内の主要な交通機関である伊予鉄道(通称:いよてつ)では状況が全く異なります。JRとは対照的に、伊予鉄道は全国交通系ICカードの利用を積極的に推進しています。
2025年3月18日からは、これまで先行導入されていた市内電車(路面電車)や空港リムジンバスに加え、郊外電車と路線バスの全線でSuicaやICOCA、PASMOといった全国10種類の主要な交通系ICカードが利用可能になりました。これにより、松山市内および近郊の移動は、使い慣れたICカード一枚でほぼ完結します。
JR松山駅前から伊予鉄道の路面電車に乗り換えることで、ICカードをかざすだけで道後温泉や大街道といった主要観光地へスムーズにアクセスできます。JRでの移動と市内交通での移動で、支払い方法を賢く使い分けることが松山観光の鍵となります。
交通事業者 | 対象エリア | 全国交通系ICカード | 主な支払い方法 |
JR四国 | 松山駅を含む愛媛県全域 | 利用不可 | 現金・クレジットカード(紙の切符を購入) |
伊予鉄道 | 市内電車、郊外電車、バス全線 | 利用可能 | 全国交通系ICカード、現金 |
松山駅から道後温泉へのアクセス方法

松山観光のハイライトである道後温泉へは、JR松山駅前から伊予鉄道の市内電車(路面電車)を利用するのが最も一般的で分かりやすい方法です。
JR松山駅の駅舎を出て向かって左方向(地下道経由)にある「JR松山駅前」電停から、オレンジ色の車体が目印の「道後温泉行き」の路面電車に乗車します。全国交通系ICカードを利用する場合、乗車時にカードをタッチする必要はなく、降車する際に運転席横の運賃箱にあるICカードリーダーにしっかりとタッチするだけで支払いが完了します。所要時間は約25分で、レトロな雰囲気の車両に揺られながら松山の中心街を眺めるのも旅の楽しみの一つです。
現金で支払う場合は、乗車時に整理券を取り、降車時に車内前方の運賃表示器で整理券番号に対応する金額を確認し、その金額と整理券を一緒に運賃箱へ投入します。車内での高額紙幣の両替はできない場合が多く、小銭がないと他の乗客の迷惑になることもあるため、ICカードの利用が断然スムーズでおすすめです。
松山空港から松山駅までの交通手段
松山空港からJR松山駅へ向かうには、伊予鉄道が運行するリムジンバスが最も便利で確実な選択肢です。空港の到着ロビーを出てすぐのバス乗り場から乗車でき、大きな荷物を持っていても移動が容易です。
このリムジンバスも全国交通系ICカードに完全対応しているため、券売機に並ぶ手間なく、乗車時にバス入口のICカードリーダーにタッチするだけでスマートに乗車できます。JR松山駅までは交通状況にもよりますが、通常約15分で到着します。
万が一、ICカードの残高が不足している場合でも、空港ビル内にあるコンビニエンスストア(セブン-イレブンなど)のレジやセブン銀行ATMで簡単にチャージできるので安心です。現金で利用する場合は、バス乗り場近くの券売機であらかじめ乗車券を購入するか、降車時に現金で支払うこともできますが、スムーズな移動のためにはICカードの活用が推奨されます。
松山駅周辺で利用できるキャッシュレス決済
JRの切符購入は現金かクレジットカードが基本となりますが、駅周辺の店舗では多様なキャッシュレス決済が利用できます。
まず、交通系ICカードは、電子マネーとして全国の主要なコンビニエンスストア(セブン-イレブン、ローソンなど)や一部の飲食店、自動販売機、コインロッカーなどで利用可能です。伊予鉄道での移動の合間に、同じカードで買い物ができるのは大きなメリットです。
また、駅ビルや周辺の商業施設では、各種クレジットカードはもちろん、PayPayや楽天ペイといったQRコード決済に対応している店舗も増えています。食事やお土産の購入時には、これらの決済方法も選択肢に入ります。ただし、小規模な個人商店などでは現金のみの場合もあるため、少額の現金も用意しておくとより安心でしょう。
JR四国での今後のICカード導入予定
現時点において、JR四国から松山エリアへICカードシステムを導入する具体的な計画は発表されていません。前述の通り、同社は安全関連への投資を最優先課題としており、ICカード導入の優先度は相対的に低いのが現状です。
2024年に開業した最新の高架駅舎にICカード機能が搭載されなかったという事実は、この方針が当面継続されることを示唆しています。伊予鉄道が全線でICカード対応を完了したことで、利用者からの要望は今後高まる可能性がありますが、経営環境に大きな変化がない限り、近い将来での導入は難しいと考えるのが現実的です。
そのため、松山を訪れる旅行者は、少なくとも今後数年間は「JRでは紙の切符、伊予鉄道ではICカード」というハイブリッドな利用方法が続くと想定し、準備しておく必要があります。
JR四国ICカード松山の要点まとめ
- JR松山駅を含む愛媛県内のJR線では全国交通系ICカードは一切利用できない
- ICカードが使えない理由は安全運行のための設備投資を最優先しているため
- JRに乗車する際は必ず事前に紙の切符を購入する必要がある
- 切符は駅の自動券売機や「みどりの窓口」で購入する
- オンライン予約「e5489」を利用した場合でも駅での物理的な発券が必須
- 「e5489」の切符発券には予約時に使用したクレジットカード現物が必要
- ICカードエリアから松山駅への「エリアまたぎ」利用はできない
- 松山市内の伊予鉄道(路面電車・バス・郊外電車)では全国交通系ICカードが利用できる
- JR松山駅前から道後温泉へは伊予鉄道の路面電車が便利
- 松山空港からJR松山駅へはICカード対応のリムジンバスが運行している
- 交通系ICカードはコンビニなどでの電子マネーとしても利用可能
- 伊予鉄道の車内ではICカードのチャージはできない
- ICカードのチャージはコンビニや主要駅のチャージ機で行う
- JR四国に松山エリアへのICカード導入計画は現時点ではない
- 旅行者は「JRは切符、伊予鉄はICカード」と使い分けるのが基本戦略となる