「キハ185系の置き換え」と検索しているあなたは、国鉄時代から走り続けるこの車両の今後について、具体的な情報を求めているのではないでしょうか。老朽化と更新計画が進む中、後継車両候補とは何か、また新型車両との性能比較も気になるところです。
JR各社のディーゼル車両更新の動きとも関連し、具体的な置き換えの時期とスケジュール、そして置き換えに伴うダイヤ改正の影響は、利用者にとって大きな関心事です。一方で、キハ185系が活躍した路線とその今後はどうなるのか、観光列車として残る可能性はあるのか、という点も注目されています。
この記事では、鉄道ファンにとっての魅力あふれるキハ185系について、置き換えの背景にある環境対策も含め、現在分かっている情報を網羅的に解説します。
- キハ185系が置き換えられる具体的な理由
- 後継車両の正体と置き換えスケジュール
- 定期運用から外れた後の車両の活用方法
- 置き換えがダイヤや路線に与える影響
キハ185系の置き換えの背景と具体的な計画

- 避けられない老朽化と更新計画の概要
- 後継車両候補とは?2700系が最有力か
- 新型車両との性能比較で見る世代交代
- 具体的な置き換えの時期とスケジュール
- 置き換えに伴うダイヤ改正の主な影響
- キハ185系が活躍した路線とその今後
避けられない老朽化と更新計画の概要

キハ185系が置き換えの対象となる最も大きな理由は、避けられない車両の老朽化です。この車両は国鉄分割民営化を翌年に控えた1986年に登場し、2026年には登場から40年という大きな節目を迎えます。
長年の運用により、車体や主要機器の経年劣化が進行しているのが実情です。これには、目に見える内装の傷みだけでなく、金属疲労の蓄積といった構造的な問題も含まれます。車両の安全性を維持するためには、定期的な大規模修繕が必要になりますが、年数が経つほどそのコストは増大する傾向にあります。
また、製造から時間が経過すると、交換用部品の確保が難しくなるという課題も生じます。キハ185系は設計時にバス用汎用部品を多用したことで知られていますが、その汎用品ですら、40年前の規格のものが現在も同じように生産されているとは限りません。
これらの理由から、JR四国は長期的な視点に立ち、安全で安定した鉄道サービスを維持するために、計画的な車両の更新を進めています。キハ185系の置き換えは、単なる古い車両の引退ではなく、将来にわたって持続可能な鉄道網を維持するための、経営上の合理的な判断と言えます。

後継車両候補とは?2700系が最有力か

キハ185系の特急列車としての役割を引き継ぐ後継車両は、すでに登場しており、それは2019年にデビューした最新鋭の2700系気動車です。これが事実上の後継車両であると考えられます。
その理由は、JR四国が車両の運用計画を明確に示しているためです。例えば、これまでキハ185系が一部担っていた高徳線の特急「うずしお」は、段階的に2700系への置き換えが進められ、最終的には全便が2700系に統一される計画です。このように、主要な特急路線の運用を2700系に移行させることで、捻出されたキハ185系が他の運用から退くという流れが生まれています。
新型ハイブリッド車は後継ではない
ここで注意すべき点があります。JR四国は2025年以降に新型のハイブリッド式気動車の導入を発表していますが、これはキハ185系の後継車両ではありません。公式発表によると、この新型車両は、国鉄時代に製造されたキハ40系などの「普通列車用」のローカル気動車を置き換えることを目的としています。
したがって、JR四国の車両更新戦略は、以下の二つの流れで進められていると理解することが大切です。
- 特急列車:キハ185系などを、より高速で快適な2700系に置き換える。
- 普通列車:旧式のキハ40系などを、燃費効率の良い新型ハイブリッド車に置き換える。
このように、特急と普通列車でそれぞれ最適な新型車両を導入する計画であり、キハ185系の直接的な後継は2700系であると明確に区別できます。
新型車両との性能比較で見る世代交代
キハ185系と、その後継である2700系との間には、約30年という技術の進歩がもたらした決定的な性能差が存在します。この差が、世代交代を不可避なものにしています。
主な違いは、速達性に直結する「車体傾斜装置」の有無です。カーブの多い四国の路線において、車体を傾けて高速で曲線を通過できる2700系の能力は、所要時間の大幅な短縮に貢献します。一方、キハ185系はこの装置を持たないため、カーブでは速度を落とさなければなりません。
また、快適性や利便性においても大きな差があります。現代の乗客ニーズに応える全席コンセントや無料公衆無線LAN(Wi-Fi)は、2700系では標準装備ですが、キハ185系では基本的に設置されていません(一部改造車を除く)。
以下の表は、両者の主な性能と設備を比較したものです。
項目 | キハ185系 (1986年) | 2700系 (2019年) | 差異の意義 |
最高速度 | 110 km/h | 130 km/h | 直線区間での到達時間短縮に貢献 |
車体傾斜装置 | なし | 制御付自然振子式 | 決定的優位性。 曲線区間での高速走行を可能にする |
機関出力 | 250 PS × 2 | 450 PS × 2 | 優れた加速性能と登坂能力を発揮 |
客席コンセント | なし(一部除く) | 全席に設置 | 現代の旅客ニーズに対応 |
Wi-Fi | なし(一部除く) | 完備 | ビジネスや観光での利便性が向上 |
バリアフリー | 限定的(原設計) | 車椅子スペース、多機能トイレ完備 | 現代の社会的な要請に対応 |
このように、あらゆる面で2700系がキハ185系を上回っています。特に高速バスとの競争が激しい路線では、この性能差が鉄道の競争力を左右するため、新型車両への置き換えは必然と言えるでしょう。
具体的な置き換えの時期とスケジュール

キハ185系の置き換えにおけるひとつの節目となったのが、2025年3月15日に実施されるダイヤ改正でした。この改正により、定期特急としての運用が大幅に縮小されることが決定しました。
具体的な内容は以下の通りです。
- 特急「うずしお」からの完全撤退
- 現在、高松駅と徳島駅の間で1往復のみ残っているキハ185系の運用が終了し、全便が2700系に統一されました。これにより、高徳線からキハ185系の定期特急列車が姿を消します。
- 特急「むろと」の廃止
- 徳島駅と牟岐駅の間で1往復運行されていた特急「むろと」自体が廃止となります。この列車はキハ185系で運行されていました。
- 特急「剣山」の減便と一部置き換えの可能性
- 徳島駅と阿波池田駅を結ぶ特急「剣山」が2往復減便されます。残る運用の一部はキハ185系が担います。
「うずしお」同様、2700系が投入される事で時間短縮になり、土讃線との接続性向上に繋がる可能性も。
- 徳島駅と阿波池田駅を結ぶ特急「剣山」が2往復減便されます。残る運用の一部はキハ185系が担います。
これらの動きから、2025年3月のダイヤ改正が、キハ185系の定期特急としてのキャリアにおける事実上の「引退勧告」と位置づけられていることが分かります。この改正以降、その活躍の場は極めて限定的なものへと変わります。
置き換えに伴うダイヤ改正の主な影響

2025年3月のダイヤ改正によるキハ185系の置き換えは、利用者や沿線にいくつかの影響をもたらします。
最大のメリットは、主要幹線である高徳線(高松~徳島)のサービス向上です。特急「うずしお」がすべて高性能な2700系に統一されることで、列車の速達性と快適性が向上します。これにより、高速バスに対する鉄道の競争力が高まることが期待されます。
一方、デメリットや注意点も存在します。牟岐線の特急「むろと」が廃止されることで、徳島県南部の利用者にとっては利便性が低下する可能性があります。また、徳島線の特急「剣山」も減便されるため、該当する時間帯の移動には代替手段を検討する必要が出てくるかもしれません。
このように、ダイヤ改正は一部区間でのサービス向上と、他の区間でのサービス縮小という二つの側面を持っています。JR四国が経営資源を競争の激しい主要幹線に集中させるという戦略的な判断が、今回の改正内容に色濃く反映されていると考えられます。利用者としては、自身の利用区間においてどのような変更があるのか、事前に時刻表などを確認しておくことが大切です。
キハ185系が活躍した路線とその今後
キハ185系は、その長いキャリアの中で四国の主要な路線を駆け抜けました。デビュー当時は、高松駅を起点とする予讃線の特急「しおかぜ」や土讃線の特急「南風」といった花形列車に投入されました。
しかし、1990年代に後継の2000系が登場すると、主役の座を譲り、次第に徳島県を中心とする路線へと活躍の場を移します。主に、高徳線の特急「うずしお」、徳島線の特急「剣山」、牟岐線の特急「むろと」で長年にわたり活躍を続けてきました。
2025年3月のダイヤ改正後の動向ですが、定期特急としての運用は、徳島線の特急「剣山」の一部列車のみに残る見込みです。ただ、これも恒久的なものではなく、将来的には2700系への置き換えが進む可能性があります。
一方で、定期運用から外れた車両が即座に廃車になるわけではありません。後述するように、人気の観光列車への改造や、団体・臨時列車としての活用が積極的に行われています。そのため、特急シンボルマークを掲げて毎日決まった時間に走る姿は見納めとなりますが、形を変えて四国の線路上でその姿を見る機会は、当面続くと考えられます。
キハ185系の置き換えがもたらす今後の展望

- 観光列車として残る可能性は十分にある
- 国鉄形最後の特急!鉄道ファンの魅力
- JR各社のディーゼル車両更新の動き
- 置き換えの背景にある環境対策とは
- まとめ:キハ185系の置き換えの全貌
観光列車として残る可能性は十分にある

定期特急の第一線から退くことは、キハ185系にとって終わりではなく、新たな役割の始まりを意味します。事実、JR四国はこの車両を観光資源として活用する戦略を積極的に進めており、観光列車として残る可能性は非常に高いと言えます。
すでに、多くのキハ185系が豪華な観光列車へと生まれ変わっています。
- 伊予灘ものがたり(二代目):予讃線を走る人気の観光列車で、キハ185系を改造した車両が使用されています。
- 四国まんなか千年ものがたり:土讃線の絶景を走るレストラン列車で、こちらもキハ185系がベースです。
- 志国土佐 時代の夜明けのものがたり:同じく土讃線を走り、幕末の歴史をテーマにした列車です。
これらの成功事例が示すように、JR四国は性能的に陳腐化した車両を、付加価値の高い観光列車へと改造することで、新たな収益源を生み出すビジネスモデルを確立しています。
キハ185系がこの役割に適しているのには理由があります。もともとの設計が比較的単純で、特殊な機構(振子装置など)を持たないため、大規模な内装撤去や改造が技術的・経済的に行いやすいのです。2025年のダイヤ改正で新たに余剰となる車両が、今後、四国のまだ観光列車が走っていない路線で、新たな「ものがたり列車」としてデビューする可能性も十分に考えられます。
国鉄形最後の特急!鉄道ファンの魅力
キハ185系が多くの鉄道ファンから注目を集めるのには、特筆すべき理由があります。それは、この車両が「定期運行される最後の国鉄設計特急形車両」となる見込みだからです。
JR東日本で活躍した185系電車や、JR西日本の381系電車といった、他の国鉄時代に設計された特急形車両は、すでに定期運用から引退しています。その中で、分割民営化の際に最も経営基盤が弱いとされたJR四国に配備されたキハ185系が、結果的に最後まで定期特急として生き残るという事実は、非常に興味深い点です。
ファンにとっての魅力は、その歴史的価値だけではありません。国鉄特急の象徴である「JNRマーク」を模したエンブレム、バス用の部品を流用した空調の吹き出し口や独特のドアエンジン音、そしてステンレス車体に映える緑のラインなど、随所に昭和の設計思想と雰囲気を色濃く残しています。
これらの特徴は、最新の車両にはない無骨さや温かみとして感じられ、多くの人々を惹きつけてやみません。定期運用が縮小されることで、その希少価値はさらに高まり、最後の活躍を見届けようと多くのファンが四国を訪れることが予想されます。
JR各社のディーゼル車両更新の動き

JR四国におけるキハ185系の置き換えは、単独の動きではなく、全国のJR各社で進むディーゼル車両(気動車)更新という大きな流れの一部と捉えることができます。
JR各社は、国鉄時代に製造された旧式の気動車を、より環境性能や燃費効率に優れた新型車両へと置き換える動きを加速させています。
画像はJR九州 YC1系
- JR北海道:キハ183系(キハ185系と同時期の車両)はすでに全車引退しています。
- JR東日本:キハ40系などを、GV-E400系といった電気式気動車に置き換えています。
- JR西日本:DEC700形といった次世代車両の開発を進めています。
- JR九州:YC1系というハイブリッド車を導入し、旧型車を置き換えています。
このように、各社が導入する新型車両の方式は様々ですが、「環境負荷の低減」と「メンテナンスコストの削減」という共通の目的を持っています。エンジンで発電した電気でモーターを回す「電気式」や、エンジンと蓄電池を組み合わせる「ハイブリッド式」が近年の主流です。
JR四国が導入する新型ハイブリッド車も、この全国的なトレンドに沿ったものです。キハ185系の置き換えは、特急列車のサービス競争力強化という側面に加え、ローカル線においても環境に優しく効率的な車両へ転換していくという、日本の鉄道全体の大きな変化を反映した動きなのです。
置き換えの背景にある環境対策とは
キハ185系の置き換えは、老朽化対策やサービス向上だけでなく、環境対策という側面も持っています。これは、特に普通列車用の旧型気動車を新型ハイブリッド車に置き換える動きと密接に関連しています。
国鉄時代に設計されたディーゼルエンジンは、現代の基準で見ると燃費効率が悪く、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)といった排出ガスの量も多くなります。鉄道はもともと環境負荷の低い交通機関ですが、より一層のCO₂排出量削減が社会全体で求められる中で、旧式ディーゼルエンジンの更新は重要な課題となっています。
JR四国が導入を予定している新型ハイブリッド車は、発進・加速時にエンジンと蓄電池の電力を併用し、減速時にはブレーキのエネルギーを電気に変えて蓄電池に充電する「回生ブレーキ」の仕組みを持っています。これにより、エンジンへの負荷が減り、燃料消費量とCO₂排出量を大幅に削減できると期待されています。
前述の通り、この新型ハイブリッド車はキハ185系の直接的な後継ではありません。しかし、キハ185系のような特急車両を最新の2700系に置き換えることも、燃費効率の改善につながります。このように、JR四国は特急と普通列車の両面から車両の世代交代を進めることで、鉄道事業全体の環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献しようとしているのです。
まとめ:キハ185系の置き換えの全貌
この記事で解説した「キハ185系の置き換え」に関する重要なポイントを、以下にまとめます。
- キハ185系は1986年に登場した国鉄設計の特急形気動車
- 主な置き換え理由は登場から約40年が経過したことによる老朽化
- 特急列車としての直接的な後継車両は2700系気動車
- 新型ハイブリッド車は普通列車用でありキハ185系の後継ではない
- 2025年3月のダイヤ改正が置き換えの大きな節目となる
- 特急「うずしお」から完全撤退し高徳線の定期運用が終了
- 特急「むろと」は列車自体が廃止される
- 定期運用は特急「剣山」の一部に残る見込み
- 性能面では後継の2700系が速度や快適性で圧倒している
- 特に車体傾斜装置の有無が所要時間に大きく影響する
- 置き換えにより主要幹線のサービスレベルが向上する
- 余剰となった車両は観光列車への改造が進んでいる
- 「伊予灘ものがたり」などがその代表例として活躍中
- 単純な構造が大規模な改造に適しているという利点を持つ
- 今後は最後の国鉄設計定期特急車両として希少価値が高まる
- 車両更新は環境負荷低減という側面も持っている