四国の松山から世界遺産の宮島への旅行を計画する際、多くの方がどの交通手段を選ぶべきか悩むことでしょう。最適な松山から宮島への行き方は、旅行の目的や予算、時間によって大きく変わるため、事前の情報収集が旅の満足度を左右します。
この記事では、まず松山から宮島へのアクセス概要を分かりやすく整理します。具体的には、瀬戸内海を渡る松山観光港から高速船で行くルートについて、スーパージェットの時刻と料金目安を詳しく解説し、到着後の広島港から宮島口までの移動方法も網羅します。また、陸路を選ぶ場合の特急しおかぜと新幹線を使う行き方や、岡山経由で行く場合の乗り換えポイント、さらに自由度の高い車・レンタカーでのドライブルートについても触れていきます。
最終的には、各ルートの所要時間と料金の比較まとめを提示し、一番早く着くおすすめルートや、旅の体験を豊かにする観光を楽しみながら行くモデルコースまで、あなたのプランに最適な選択ができるよう多角的な情報を提供します。
- 船・高速バス・JRそれぞれの移動手段の特徴と料金・所要時間
- 乗り換えを含めた松山市内から宮島までの総費用と総移動時間
- 時間優先・価格優先といった目的別のおすすめルート
- 車でのアクセス方法と宮島へ渡る際の注意点
松山から宮島への行き方【各ルート徹底解説】
- 松山から宮島へのアクセス概要
- 松山観光港から高速船で行くルート
- スーパージェットの時刻と料金目安
- 広島港から宮島口までの移動方法
- 特急しおかぜと新幹線を使う行き方
- 岡山経由で行く場合の乗り換えポイント
- 車・レンタカーでのドライブルート
松山から宮島へのアクセス概要

松山から安芸の宮島へ向かうには、主に「船」「高速バス」「JR鉄道」という3つの選択肢が存在します。どのルートを選ぶかによって、移動時間、費用、そして旅の体験が大きく異なるため、それぞれの特性を理解することが計画の第一歩となります。
船を利用するルートは、松山観光港から広島港(宇品)までを直接結び、瀬戸内海の船旅を楽しめるのが魅力です。一方、高速バスは松山市内中心部と広島市中心部を直結するため、乗り換えが少なく経済的な負担が最も軽い方法と考えられます。そしてJR鉄道は、瀬戸大橋を渡るルートとなり、特にジャパン・レール・パスを持つ旅行者にとっては有力な選択肢となります。
このように、出発地と到着地が同じでもアプローチは多岐にわたります。まずはご自身の旅で何を最も重視するのか(速さ、安さ、快適さ、景観など)を明確にすることで、最適なルート選びがスムーズになります。
松山観光港から高速船で行くルート

松山から海路で広島へ向かう場合、松山観光港から出発します。この航路には、目的や予算に応じて選べる2種類の船が運航しており、旅のスタイルを大きく左右する選択となります。
一つは、時間を最優先したい方向けの高速船「スーパージェット」です。この船は松山観光港と広島港(宇品)を約1時間10分から20分で結び、全ルートの中で最速の移動手段です。快適な座席でスピーディーに移動できるため、現地での滞在時間を最大限に確保したい場合に適しています。
もう一つは、クルーズフェリーです。所要時間は約2時間40分とスーパージェットより長くかかりますが、運賃が安価に設定されています。また、自動車やバイク、自転車を一緒に運びたい場合には、このフェリーが唯一の選択肢です。時間に余裕があり、瀬戸内海の景色をゆっくりと楽しみたい方や、コストを抑えたい徒歩の旅行者にとっても魅力的な選択肢と言えます。
なお、松山市内中心部から松山観光港へは、伊予鉄バスのリムジンバスを利用するのが一般的で、所要時間は約20分から30分です。
スーパージェットの時刻と料金目安
時間を重視するならスーパージェットが最適な選択肢です。ここでは、その料金と時刻表について詳しく解説します。
運賃体系(2025年8月1日改定)
運賃は改定が予定されているため、旅行時期によっては注意が必要です。以下は改定後の料金です。
区間 | 大人 | 小人 |
松山観光港 ⇔ 広島港 | ¥8,800 | ¥4,400 |
松山観光港 ⇔ 呉港 | ¥6,900 | ¥3,450 |
より快適な旅を求める方のために、追加料金で利用できる「スーパーシート」も用意されています。追加料金は大人800円、小人400円です。ただし、このスーパーシートの予約運用は2025年11月1日から変更され、事前予約が廃止となり当日窓口での購入のみとなる点も覚えておきましょう。
時刻表の概要(2025年11月1日新ダイヤ)
ダイヤは呉港を経由する便と広島港へ直行する便があり、所要時間が異なります。2025年11月1日からは新ダイヤへ移行するため、旅行計画時には公式サイトでの確認が不可欠です。
松山観光港 発 | 呉港 着 | 広島港 着 |
07:30 | – | 08:50 |
09:05 | 10:10 | 10:35 |
10:50 | – | 12:10 |
12:25 | 13:30 | 13:55 |
15:15 | – | 16:35 |
16:45 | 17:50 | 18:15 |
18:30 | – | 19:50 |
20:00 | – | 21:20 |
上記はあくまで目安です。正確な情報は必ず運航会社の公式サイトで確認してください。
広島港から宮島口までの移動方法

スーパージェットやフェリーで広島港(宇品)に到着した後、宮島への玄関口である宮島口までは、さらに移動が必要です。主な移動手段は2つあり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
一つ目の方法は、広島電鉄(路面電車)を利用するルートです。広島港電停から1号線や5号線に乗車し、途中の電停で宮島口行きの2号線に乗り換えます。このルートの最大のメリットは運賃の安さで、200円台で移動できます。一方で、所要時間は約1時間から1時間20分と長めです。急いでいない場合や、車窓からの街並みを楽しみたい方におすすめです。
二つ目の方法は、路面電車とJRを乗り継ぐ速達ルートです。まず広島港電停から5号線でJR広島駅へ向かい(約30分)、そこからJR山陽本線に乗り換えて宮島口駅を目指します(約30分)。乗り換え時間を含めた総所要時間は約1時間強と短縮できますが、運賃の合計は約660円と高くなります。少しでも早く宮島に到着したい場合に適した方法です。
特急しおかぜと新幹線を使う行き方

松山からJR鉄道を利用して宮島へ向かう場合、瀬戸大橋を渡って岡山駅を経由し、山陽新幹線で広島駅へ至るルートが一般的です。時間に正確で快適な移動を求める方にとって、有力な選択肢の一つとなります。
具体的には、まずJR松山駅から特急「しおかぜ」に乗車し、岡山駅まで向かいます。この区間の所要時間は約2時間45分です。岡山駅に到着後、山陽新幹線に乗り換え、広島駅までは約40分で到着します。乗り換え時間を含めた全体の所要時間は、3時間半から4時間程度が目安です。
JRルートの料金体系
このルートの最大のポイントは料金です。正規運賃で切符を購入する場合、乗車券と特急券(しおかぜ・新幹線)の合計で、片道の普通車指定席利用で約13,000円程度となり、他の交通手段と比較すると最も高額になります。コストを重視する旅行においては、この点が大きなデメリットと感じられるかもしれません。
料金以外のメリットとデメリット
一方で、料金の高さに見合うメリットも存在します。
主なメリット:
- 定時性と安定性: 鉄道は天候の影響を受けにくく、運行が安定しています。遅延や欠航のリスクが低いため、スケジュール通りに確実に移動したい場合に最適です。
- 移動の快適さ: 特急列車や新幹線は座席が広く、揺れも少ないため、長時間の移動でも快適に過ごせます。車内で飲食をしたり、PC作業をしたりと、移動時間を有効活用できるのも魅力です。
- 駅の利便性: 松山駅、広島駅ともに市街地の中心に位置しており、到着後のバスや路面電車への乗り継ぎが非常にスムーズです。
主なデメリット:
- 費用の高さ: 前述の通り、他の交通機関に比べて費用が割高です。
- 乗り換えの必要性: 岡山駅での乗り換えが必ず発生します。大きな荷物がある場合などは、少し手間に感じられる可能性があります。
以上の点から、JRルートは費用をかけてでも移動の快適さや時間通りの確実性を優先したい方、または船酔いやバス酔いが心配な方に特におすすめできる移動手段と言えるでしょう。

岡山経由で行く場合の乗り換えポイント

JRルートを利用する際、最も重要なのが岡山駅での乗り換えです。スムーズに乗り換えるためのポイントをいくつか押さえておきましょう。
まず、JR松山駅から乗車する特急「しおかぜ」は、岡山駅の在来線ホームに到着します。一方、広島へ向かう山陽新幹線は、新幹線専用のホームから出発します。このため、在来線ホームから新幹線ホームへ移動する必要があり、改札(在来線改札と新幹線乗換改札)を通過する時間も考慮しなければなりません。
岡山駅の構造は比較的わかりやすいですが、初めて利用する場合は少し時間に余裕を持っておくと安心です。標準的な乗り換え時間は15分から20分程度見ておけば十分ですが、大きな荷物がある場合や、駅でお土産などを購入したい場合は、30分以上の余裕を持った列車を予約することをおすすめします。
乗り換えの際は、駅の案内表示をよく確認してください。「山陽新幹線」や「広島・博多方面」といった表示に従って進めば、迷うことなく新幹線ホームにたどり着けます。

車・レンタカーでのドライブルート

時間を気にせず、自由な旅を楽しみたい方には車やレンタカーでの移動もおすすめです。松山から宮島口までのドライブルートは、瀬戸内海の美しい景色を楽しめる「しまなみ海道」を経由するのが一般的です。
主なルートは、松山インターチェンジから松山自動車道に乗り、今治湯ノ浦インターチェンジで降ります。そこから西瀬戸自動車道(しまなみ海道)で本州の尾道へ渡り、山陽自動車道を通って廿日市インターチェンジで降り、宮島口を目指します。休憩を含まない場合の所要時間は、およそ2時間半から3時間程度です。
このルートのメリットは、なんといっても自由度の高さです。途中のサービスエリアに立ち寄ったり、しまなみ海道の島々を散策したりと、寄り道をしながら旅を楽しめます。
一方で、デメリットと注意点も存在します。まず、高速道路料金とガソリン代がかかるため、乗車人数によっては他の交通機関より割高になる可能性があります。そして最も重要な注意点は、宮島島内へは一般車両の乗り入れができないことです。このため、車は宮島口周辺にある有料駐車場に停めてから、フェリーで宮島へ渡る必要があります。駐車料金は1日1,000円前後が相場ですが、観光シーズンには満車になることも多いため、早めの到着を心がけましょう。
松山から宮島への行き方の選び方【目的別比較】

- 所要時間と料金の比較まとめ
- 一番早く着くおすすめルート
- 観光を楽しみながら行くモデルコース
- 最適な松山から宮島への行き方を見つけよう
所要時間と料金の比較まとめ
松山から宮島への各ルートについて、松山市内中心部から宮島の桟橋までの「総移動時間」と「総費用」を比較し、一覧表にまとめました。ご自身の旅のプランを立てる際の参考にしてください。
移動手段 | 総移動時間の目安 | 総費用の目安(大人片道) | 特徴 |
スーパージェット | 約3時間 | 約9,700円 | 最速で快適。時間を最優先する人向け。 |
クルーズフェリー | 約4.5~5時間 | 約6,700円 | 船旅をゆっくり楽しめる。車両航送可能。 |
高速バス | 約4~4.5時間 | 約5,000円 | 最も経済的。コストを最優先する人向け。 |
JR鉄道 | 約4.5~5時間 | 約11,000円以上 | 正規運賃は高額。 |
自動車 | 約3.5~4時間 | 交通費(※)+駐車料金 | 自由度が高い。しまなみ海道を楽しめる。 |
※自動車の交通費は、高速料金(ETC割引適用で約5,000円~)とガソリン代を合わせたもので、車種や燃費によって変動します。また、上記費用には宮島口から宮島へのフェリー代(運賃200円+宮島訪問税100円)が含まれています。
この表から分かるように、速さを求めるならスーパージェット、安さを求めるなら高速バスが明確な選択肢となります。自動車は移動時間と費用のバランスが取れていますが、駐車料金が別途必要です。ご自身の予算と時間に合わせて、最適なルートを検討することが大切です。
一番早く着くおすすめルート

移動時間をとにかく短縮し、宮島での滞在時間を最大限に確保したいと考える方には、スーパージェットを利用するルートが間違いなくおすすめです。
このルートが最速である理由は、松山観光港から広島港までの海上移動が約1時間10分から20分と、陸路のどの手段よりも圧倒的に短いからです。松山市内から松山観光港へのバス移動(約30分)と、広島港から宮島口までの移動(約1時間強)、そして最後のフェリー(約10分)を合計しても、総移動時間は約3時間程度に収まります。これは、他のルートと比較して1時間から1時間半以上も短い時間です。
もちろん、費用は他の交通手段に比べて高くなるというデメリットはあります。片道で約9,700円という価格は、最も安価な高速バスの倍近い金額です。
しかし、その価格差を補って余りあるほどの時間的メリットは、特に日帰り旅行や滞在時間が限られている旅行者にとって大きな価値を持ちます。浮いた時間で厳島神社をゆっくり参拝したり、弥山の山頂を目指したりと、宮島での体験をより一層充実させることができるでしょう。

片道はスーパージェット、もう片道はJR特急orバス等と行き帰りで違う乗りものを組み合わせると旅感が出るかも。
観光を楽しみながら行くモデルコース

松山から宮島への移動そのものを旅の楽しみの一部と捉え、観光を組み込んだモデルコースをいくつか提案します。
1. 呉の歴史に触れる「周遊パス活用コース」
呉の海軍史や造船技術に興味がある方におすすめのプランです。デジタル周遊パス「広島・松山周遊パス」を利用し、松山観光港からフェリーでまず呉港へ向かいます。呉では「大和ミュージアム」や「てつのくじら館」を見学。その後、パスの乗り放題区間であるJR呉線を利用して広島方面へ移動し、宮島を目指します。このパスは呉から宮島口までのJR運賃や宮島フェリー代も含まれているため、効率よく周遊観光ができます。

2. 瀬戸内海の絶景を満喫「しまなみ海道ドライブコース」
車やレンタカーを利用するなら、ただ移動するだけではもったいないです。しまなみ海道の途中にある島々に立ち寄りながら、ゆっくり宮島を目指すコースはいかがでしょうか。例えば、大三島の大山祇神社に参拝したり、生口島でアート作品を巡ったり、因島で水軍の歴史に触れたりと、寄り道の楽しみは無限大です。美しい橋と多島美が織りなす絶景を眺めながらのドライブは、最高の思い出になるはずです。
3. 広島市内を巡る「シティ観光プラスコース」
高速バスやJRで広島市中心部に到着するメリットを活かしたコースです。宮島へ直行する前に、広島平和記念公園(原爆ドーム)や資料館を訪れ、平和について考える時間を持つのも良いでしょう。その後、広島名物のお好み焼きで腹ごしらえをしてから、JRや路面電車で宮島口へ向かいます。市内観光を組み合わせることで、旅の深みが一層増します。

最適な松山から宮島への行き方を見つけよう
- 松山から宮島への主な移動手段は船・高速バス・JRの3つ
- どのルートを選ぶかは時間・費用・目的によって決まる
- 時間を最優先するならスーパージェットが最速の選択肢
- スーパージェットの片道料金の目安は約8,800円
- 費用を最も抑えたい場合は高速バスが最適な方法
- 高速バスの片道料金は時期により約2,800円から利用可能
- 正規運賃でのJR利用は他の手段に比べ割高になる傾向
- 自由度の高い旅をしたいなら車やレンタカーも魅力的
- 車の場合は宮島口周辺の駐車場を利用する必要がある
- 船は松山観光港から広島港(宇品)へ到着する
- バスやJRは広島市中心部(バスセンター・広島駅)が到着地
- 到着地から宮島口までは別途移動が必要になる
- 宮島へは宮島口からフェリーで約10分で渡れる
- フェリー乗船時には運賃とは別に宮島訪問税100円が加算される
- 各交通手段のメリットとデメリットを理解し計画を立てることが大切