JR四国の特急うずしおの料金について、複雑で分かりにくいと感じていませんか。この記事では、高松と徳島を結ぶ特急うずしおの料金体系を網羅的に解説します。
具体的には、特急うずしおの基本運賃と特急料金の仕組みから、多くの方が気になる指定席と自由席の料金の違い、そしてグリーン車料金についての真実まで、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。さらに、子ども料金の設定や、学割や学生向け割引の有無、往復割引の利用方法といった詳細な情報にも触れていきます。
また、JR西日本のネット予約割引を活用して早割でお得に乗る方法や、ICOCAなど交通系ICでの支払い可否、他の特急との料金比較を通じて、あなたの旅行計画に最適な選択肢が見つかるようサポートします。この記事を読めば、特急うずしおの料金に関するあらゆる疑問が解消されるはずです。
- 特急うずしおの基本的な料金体系
- 指定席や自由席、子ども料金などの詳細
- ネット予約などを活用した具体的な割引方法
- きっぷの購入方法と乗車時の注意点
知っておきたい特急うずしおの料金の基本
- 特急うずしおの基本運賃と特急料金
- 指定席と自由席の料金の違いとは?
- グリーン車料金についての注意点
- 何歳から?子ども料金の設定について
- 学割や学生向け割引の有無をチェック
- 他の特急との料金比較【南風など】
特急うずしおの基本運賃と特急料金

特急うずしおに乗車するための料金は、2種類のきっぷの合計金額で決まります。これはJRの特急列車における基本原則であり、この仕組みを理解することが料金節約への第一歩となります。
2枚のきっぷの役割
- 乗車券: ある駅から目的の駅まで移動する権利そのものに対する基本的な運賃です。これは特急列車だけでなく、普通列車に乗る場合でも必ず必要になる基本的なきっぷです。運賃は、実際に乗車する距離(営業キロ)に応じて定められています。
- 特急券: 普通列車よりも速く、快適な設備を持つ特急列車を利用するための追加料金です。乗車券だけでは特急うずしおには乗車できず、必ずこの特急券を合わせて購入する必要があります。
具体的な料金計算例:高松駅から徳島駅の場合
特急うずしおの主要区間である高松-徳島間を例に見てみましょう。この区間の営業キロは74.5kmです。
- 乗車券の料金: JR四国の運賃表に基づき、74.5kmは「71~80km」の区分に該当するため、1,640円となります。
- 特急券の料金: こちらも距離に応じて変動します。自由席を利用する場合、74.5kmは「51~100km」の区分に該当し、1,200円です。
したがって、高松駅から徳島駅まで自由席を利用する場合の合計金額は、1,640円(乗車券)と1,200円(特急券)を合わせて2,840円となるわけです。このように、2つの要素から成り立っていることを覚えておくと、割引などを検討する際に理解しやすくなります。

指定席と自由席の料金の違いとは?

特急券には、大きく分けて「自由席特急券」と「指定席特急券」の2種類があり、どちらを選ぶかによって料金とサービス内容が異なります。それぞれの特徴を理解し、旅のスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
自由席:価格と柔軟性が魅力
自由席は、列車内の「自由席」と表示された車両の空いている席ならどこでも利用できます。乗車する列車を事前に確定させる必要がなく、きっぷの有効日内であれば、同じ区間を走る後続の特急うずしおにも乗車できる柔軟性が最大のメリットです。ただし、お盆や年末年始などの繁忙期には満席で座れないリスクもあります。
指定席:確実な座席確保で安心
指定席は、購入時に乗車する列車・号車・座席番号が確定しているため、必ず座席が確保されます。混雑が予想される時期の移動や、乗り継ぎなどで絶対に乗り遅れられない場合には、指定席を選ぶと安心です。
料金差とシーズン別価格
原則として、自由席特急料金は、指定席特急料金から530円を引いた金額に設定されています。
また、指定席特急料金は、旅行者の需要に応じて価格が変動するシーズン別料金が導入されている点に注意が必要です。
- 繁忙期: 通常期の料金に200円が加算されます。(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など)
- 通常期: 基準となる料金です。
- 閑散期: 通常期の料金から200円が割り引かれます。(利用の少ない平日など)
このシーズン別料金は指定席にのみ適用され、自由席の料金は年間を通じて一定です。そのため、繁忙期には指定席と自由席の価格差が730円(530円+200円)に広がり、価格を重視する乗客を自由席へ誘導する役割も果たしています。
グリーン車料金についての注意点
より快適な旅を求めて、グリーン車の利用を検討する方もいるかもしれません。しかし、ここで非常に重要な注意点があります。
結論から言うと、特急うずしおにはグリーン車は連結されておらず、グリーン料金の設定もありません。
特急うずしおに使用されている最新鋭の2700系車両には、設計上グリーン席の仕様が存在します。実際に、同じ2700系で運行される岡山-高知間の特急「南風」など、より長距離を走る列車にはグリーン車が連結されています。
では、なぜ「うずしお」にはないのでしょうか。その理由は、運行路線の特性にあります。高松-徳島間の所要時間は約1時間15分と比較的短距離です。そのため、JR四国は限られた車両スペースを、より多くの乗客が利用できる普通席に割り当てるという運行戦略をとっています。これは、路線の需要と効率性を考慮した結果と言えるでしょう。
したがって、特急うずしおで利用できる座席は「普通車の指定席」と「普通車の自由席」の2種類のみとなりますので、きっぷを予約・購入する際はこの点を念頭に置いてください。
何歳から?子ども料金の設定について
お子様と一緒に特急うずしおを利用する場合、料金の区分は年齢によって細かく定められています。正しい料金区分を理解しておくことで、きっぷをスムーズに購入できます。
JRの旅客営業規則では、乗客を以下の4つの区分に分けています。
- 大人(おとな): 12歳以上(中学生以上)
- 小児(こども): 6歳以上12歳未満(小学生)
- 幼児(ようじ): 1歳以上6歳未満(小学校入学前)
- 乳児(にゅうじ): 1歳未満
小児(小学生)の料金
小児の料金は、乗車券・特急券ともに大人の半額です。計算時に発生した10円未満の端数は切り捨てられます。例えば、大人の乗車券が1,640円なら小児は820円、大人の自由席特急券が1,200円なら小児は600円となります。
幼児・乳児の料金
幼児と乳児は、原則として運賃・料金ともに無料です。ただし、これには条件があります。
- 無料になるケース: 大人もしくは小児の同伴者1人につき、幼児2人までが無料となります。乳児は人数に関わらず無料です。この場合、幼児や乳児は同伴者の膝の上に乗せるなど、座席を使用しないことが前提です。
- 有料(小児料金)になるケース:
- 幼児が1人で座席を確保して利用する場合
- 大人1人が3人以上の幼児を同伴する場合(3人目から小児料金が必要)
- 幼児が単独で旅行する場合
このように、特に未就学のお子様と旅行する際は、座席をどう利用するかによって料金が変わる点を覚えておくと良いでしょう。
学割や学生向け割引の有無をチェック

学生の方にとって、学割が利用できるかどうかは大きな関心事です。特急うずしおの利用において、学生向けの割引制度について解説します。
JRの「学割(学生割引)」の適用条件
JRが公式に定めている「学割」は、JRから指定を受けた中学・高校・大学などの学生・生徒が対象です。この割引を利用するには、学校が発行する「学生・生徒旅客運賃割引証」が必要となります。
割引の内容は、片道の営業キロが101km以上の場合に、乗車券の料金が2割引になるというものです。ここで重要なのは、割引対象が「乗車券」のみであり、「特急券」は割引にならない点です。
特急うずしおでの学割利用
このルールを特急うずしおに当てはめてみましょう。
- 高松 ↔ 徳島(74.5km): 片道の営業キロが101kmに満たないため、この区間のみの利用では学割は適用されません。
- 岡山 ↔ 徳島(144.3km): この区間は片道101kmを超えるため、学割の対象となります。乗車券が2割引で購入可能です。
したがって、四国内の短距離移動では学割の恩恵を受けることは難しいですが、岡山など本州方面から長距離を移動する際には有効な割引制度となります。学割を利用する際は、駅の「みどりの窓口」や「みどりの券売機プラス(オペレーター対応機能付き)」で、割引証を提示して購入する必要があります。
他の特急との料金比較【南風など】

特急うずしおの料金が、他の列車と比べて高いのか安いのか気になる方もいるかもしれません。ここでは、同じJR四国内を走る主要な特急列車「南風(なんぷう)」と比較してみます。
特急「南風」は、岡山と高知を結ぶ長距離特急で、うずしおと同じ2700系車両が主に使われています。
JR四国内の特急料金は、全国で適用される「A特急料金」を基準としつつも、利用しやすいように独自の料金体系(特例)が設けられています。うずしおと南風は、四国内を走行する際の特急料金の計算基準は基本的に同じです。つまり、もし乗車する距離が全く同じであれば、特急料金も同額になります。
両者の違いは、主にサービス内容と運行区間に現れます。
- グリーン車の有無: 前述の通り、うずしおにはグリーン車がありませんが、長距離を走る南風には連結されています。より上質な座席を求める需要に応えています。
- 運行距離と需要: うずしおが比較的短距離の都市間輸送を担うのに対し、南風は本州と四国南部を結ぶ長距離輸送を担います。
要するに、特急うずしおの料金設定が特別に高いわけではなく、JR四国の標準的な料金体系に基づいています。料金の違いは、乗車する距離と、利用する座席の種類(自由席か指定席か)によって決まると考えられます。
特急うずしおの料金をお得にする割引術
- 往復割引の利用方法と適用条件
- JR西日本のネット予約割引「e5489」
- 早割でお得に乗る方法はある?
- ICOCAや交通系ICでの支払い可否
- 旅の計画に役立つ特急うずしお料金のまとめ
往復割引の利用方法と適用条件

旅行や出張で同じ区間を往復する場合、「往復割引」が使えれば交通費を大きく節約できる可能性があります。しかし、特急うずしおを利用する際には、この割引の適用条件に注意が必要です。
JRの往復割引制度は、片道の営業キロが601kmを超える場合に、乗車券の「ゆき」「かえり」の運賃がそれぞれ1割引になるというものです。
このルールが意味することは、残念ながら、特急うずしおが主に走行する区間では、往復割引は適用されないということです。
- 高松 ↔ 徳島: 営業キロは74.5kmであり、601kmには遠く及びません。
- 岡山 ↔ 徳島: 営業キロは144.3kmで、こちらも条件を満たしません。
例えば、東京から徳島までJRを乗り継いで往復するような、非常に長距離の旅行でない限り、この割引の恩恵を受けることはできません。特急うずしお単体での利用や、岡山からの利用では、往復割引の存在は考慮しなくて良いでしょう。その代わり、後述するインターネット予約など、他の方法で料金を抑える戦略が重要になります。
JR西日本のネット予約割引「e5489」
特急うずしおの料金を最も効果的に節約する鍵は、JR西日本とJR四国が共同で運営するインターネット予約サービス「e5489(イーゴヨヤク)」の活用にあります。駅の窓口や券売機で定価で買う前に、必ずチェックすべきサービスです。
e5489では、通常のきっぷよりも割安なインターネット限定のきっぷが多数販売されています。
チケットレス特急券
e5489の会員登録(無料)をすれば誰でも利用できる割引特急券です。予約後、きっぷを受け取ることなく、スマートフォンの予約画面を車内で提示するだけで乗車できる「チケットレスサービス」に対応しています。駅の窓口で指定席特急券を購入するよりも安価に設定されており、利便性と価格の両面でメリットがあります。
eチケットレス特急券(J-WESTカード会員限定)
JR西日本のクレジットカード「J-WESTカード」の会員であれば、さらに割引率の高い「eチケットレス特急券」を利用できます。これは最も割引率が高いきっぷの一つで、場合によっては駅で自由席を購入するのと同じくらいの価格で、指定席の快適さを手に入れることも可能です。(※2026年春で発売終了)
具体的な割引額の例
料金は区間や時期によって変動しますが、例えば高松-徳島間の指定席特急券(通常期1,730円)が、e5489のチケットレスサービスを利用すると1,530円となり、200円安く購入できます(2025年9月時点)。
このように、e5489を使いこなすことが、現代の鉄道旅行における最も賢い節約術と言えるでしょう。
早割でお得に乗る方法はある?

新幹線などでよく聞く「早割」のように、早く予約すればするほど安くなるきっぷが特急うずしおにもあるのでしょうか。
結論から言いますと、「〇日前までの予約で割引」といった全国共通の早割制度はありませんが、JR四国では独自に「Sきっぷ」という、非常にお得な割引きっぷを発売しており、これが実質的な早割として機能します。
特に、高松-徳島間などで利用できる「指定席Sきっぷ」は、通常の指定席料金よりも大幅に安く設定されていることがあります。このきっぷは、JR四国ツアーの窓口や一部のみどりの窓口などで、原則として乗車日の前日までに購入する必要があります。事前に旅行計画を立てられる場合には、最も節約効果が高い選択肢となり得ます。
一方で、もう一つの強力な割引方法が、以前の項目でも触れたインターネット予約サービス「e5489」です。こちらは「Sきっぷ」とは異なり、乗車直前の予約でも割引価格が適用される利便性が魅力です。駅の窓口で定価で購入するのに比べ、手軽に料金を抑えることができます。特にJ-WESTカード会員限定の「eチケットレス特急券」は割引率が高く、オンラインで手軽に節約したい場合に最適です。
したがって、特急うずしおをお得に利用するには、「Sきっぷのような事前購入型割引」と「e5489によるネット予約割引」の2つの選択肢を使い分けるのが正解です。予定が決まったら、まず「Sきっぷ」の利用を検討し、それが難しい場合や直前の予約では「e5489」を活用することをおすすめします。

ICOCAや交通系ICでの支払い可否

普段、都市部の電車をICOCAやSuicaなどの交通系ICカードで利用している方にとって、特急うずしおでも同じように乗車できるかは気になるところです。
この点については、いくつかの注意が必要です。結論として、交通系ICカードを改札機にタッチするだけで、特急うずしお(乗車券+特急券)の料金を精算して乗車することはできません。
乗車券としての利用
交通系ICカードは、あくまで「乗車券」の代わりとして使えるエリアが定められています。JR四国におけるICOCAの利用可能エリアは、香川県内の一部区間などに限定されています。特急うずしおが走行する高徳線のうち、ICOCAエリアに含まれるのは高松駅から屋島駅の手前までです。
したがって、主要区間である高松-徳島間を全線利用する場合、ICOCAなどの交通系ICカードは乗車券として利用できません。この区間を乗車するには、別途、紙の乗車券を購入する必要があります。
チケットレスサービスとの組み合わせ
インターネット予約「e5489」のチケットレス特急券を利用する場合、特急券はスマートフォンの画面で提示しますが、乗車券は別で用意しなければなりません。もし乗車区間がICOCAエリア内に収まっている場合は、乗車券部分をICカードで、特急券部分をチケットレスで、という組み合わせが可能です。
しかし、高松-徳島間のようにエリア外にまたがる場合は、紙の乗車券と、チケットレス特急券(スマホ画面)を組み合わせて利用することになります。
旅の計画に役立つ特急うずしお料金のまとめ
この記事では、特急うずしおの料金体系から、具体的な割引方法、注意点までを詳しく解説してきました。最後に、あなたの旅行計画を立てる上で重要なポイントをまとめます。
- 特急うずしおの料金は「乗車券」と「特急券」の2つの合計で決まる
- 乗車券は移動距離で、特急券は距離と座席の種類で料金が変わる
- 指定席は自由席より原則530円高く、繁忙期にはさらに200円高くなる
- 自由席の料金は年間を通じて一定で、価格変動のリスクがない
- 特急うずしおにはグリーン車は連結されておらず利用できない
- 小学生(小児)の料金は大人の半額になる
- 未就学の幼児は、座席を使わなければ大人1人につき2人まで無料
- 学割は片道101km以上の乗車券にのみ適用され、特急券は割引対象外
- 高松-徳島間(74.5km)のみの利用では学割は使えない
- 片道601km以下のため、一般的な往復割引は適用されない
- 料金を最も安くする方法はネット予約「e5489」の活用
- e5489では割引率の高いチケットレス特急券が購入できる
- J-WESTカード会員なら、さらに割引率の高い「eチケットレス特急券」が最安
- 明確な「早割」はないが、e5489の利用が実質的な割引となる
- 交通系ICカードをタッチするだけでは特急うずしおには乗車できない