高知市と四国南西部の美しい自然を結ぶ特急あしずり。この便利な特急を利用して旅行を計画しているものの、特急あしずりの運用について、具体的な情報が分からず戸惑っていませんか。最新のダイヤと時刻表はもちろんのこと、実は列車によって使用車両の編成と特徴が大きく異なり、それによって車内設備とサービスに差がある点は、快適な旅のために知っておきたい重要なポイントです。
この記事では、基本的な運行区間と停車駅のご案内から、平日と休日の運用の違い、気になる乗車率と混雑状況、そして旅の起点となる宿毛駅や高知駅での接続列車に至るまで、あなたの疑問を一つひとつ解消します。さらに、失敗や後悔をしないための指定席と自由席の違いや、観光客に人気の沿線スポット紹介も交えながら、特急あしずりを最大限に活用するための情報を網羅的にお届けします。
- 特急あしずりの基本的な運行ダイヤと時刻
- 列車ごとの車両・設備・サービスの違い
- 指定席の予約方法と混雑を避けるヒント
- 沿線の観光情報と便利な乗り換え案内
特急あしずり運用の基本情報を徹底解説
ここでは、特急あしずりを利用する上で、まず押さえておきたい基本的な情報を解説します。
- 運行区間と停車駅をチェック
- 最新のダイヤと時刻表を確認
- 使用車両の編成と特徴
- 快適な旅を支える車内設備とサービス
- 指定席と自由席の違いと選び方
運行区間と停車駅をチェック

特急あしずりは、高知県の県庁所在地である高知駅と、県西部の中心都市である中村駅、そして最西端の宿毛駅を結ぶ特急列車です。この列車はJR土讃線と、窪川駅から先、土佐くろしお鉄道中村線・宿毛線に直通運転を行うのが特徴となっています。
高知駅から中村駅までの所要時間はおおよそ1時間50分から2時間程度です。風光明媚な海岸線や、緑豊かな山間部を駆け抜けるため、車窓からの景色も旅の楽しみの一つになります。
主要停車駅と停車パターン
特急あしずりは、全ての列車が同じ駅に停車するわけではありません。一部の駅は通過する列車があるため、ご利用の際は、どの列車が目的の駅に停車するのかを事前に確認することが大切です。
以下の表に、2025年3月改正ダイヤに基づく各列車の主要停車駅をまとめました。
表:特急「あしずり」号数別 主要停車駅一覧
列車番号 | 高知 | 伊野 | 佐川 | 須崎 | 土佐久礼 | 窪川 | 土佐佐賀 | 中村 | 宿毛 |
【下り】あしずり1号、3号、5号、9号、11号、13号 | |||||||||
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ― | |
7号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
【上り】あしずり2号、4号、8号、10号、12号、14号 | |||||||||
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ― | |
6号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
凡例
- ●:停車
- ―:この区間は運転しません
補足事項
- 上記以外の駅(旭駅、朝倉駅、多ノ郷駅など)にも一部の列車が臨時停車または停車する場合があります。
- この運行区間は、高知市内の都市部から、仁淀川流域、そして雄大な太平洋に面した地域や四万十川流域へと、変化に富んだ高知の魅力を満喫できるルートです。
- 最新の詳しい停車駅や時刻については、ご乗車の直前にJR四国の公式サイトや駅の時刻表で必ずご確認ください。
最新のダイヤと時刻表を確認

特急あしずりは、2025年3月15日のダイヤ改正を経て、現在も高知と中村・宿毛を結ぶ重要な足として活躍しています。運行本数に大きな変更はありませんが、列車番号や一部の発着時刻が変更されています。
特に注意が必要なのは、使用される車両によって設備が大きく異なる点です。以下の最新の一覧表で、ご利用予定の列車の時刻と使用車両を事前にご確認ください。
表:特急「あしずり」主要列車 時刻・車両一覧(2025年3月15日改正)
方向 | 列車番号 | 高知 発 | 中村 着 | 宿毛 着 | 使用車両 | 備考 |
下り | しまんと1号 | 08:20 | 10:04 | – | 2700系 | 高松発 06:04 |
あしずり1号 | 09:51 | 11:33 | – | 2000系 | ※1 | |
あしずり3号 | 11:49 | 13:34 | – | 2000系 | ※1 | |
あしずり5号 | 13:49 | 15:35 | – | 2700系 | 全席コンセント・Wi-Fiあり | |
あしずり7号 | 15:49 | 17:41 | 17:59 | 2700系 | 全席コンセント・Wi-Fiあり | |
あしずり9号 | 17:11 | 19:06 | – | 2000系 | ※1 | |
あしずり11号 | 19:01 | 20:59 | – | 2000系 | ※1 | |
あしずり13号 | 21:18 | 23:04 | – | 2700系 | グリーン車連結 | |
方向 | 列車番号 | 宿毛 発 | 中村 発 | 高知 着 | 使用車両 | 備考 |
上り | あしずり2号 | – | 06:08 | 07:58 | 2700系 | グリーン車連結 |
あしずり4号 | – | 07:04 | 09:04 | 2000系 | ※1 | |
あしずり6号 | 09:05 | 09:24 | 11:05 | 2000系 | ※1 | |
あしずり8号 | – | 11:13 | 13:05 | 2700系 | 全席コンセント・Wi-Fiあり | |
あしずり10号 | – | 13:13 | 15:05 | 2000系 | ※1 | |
あしずり12号 | – | 15:13 | 17:04 | 2000系 | ※1 | |
あしずり14号 | – | 16:42 | 18:29 | 2700系 | 全席コンセント・Wi-Fiあり | |
しまんと4号 | 18:24 | 18:47 | 20:29 | 2700系 | 高松着22:46 |
※1:2000系で運行される列車の一部(1日2往復程度)は、2025年4月12日から2026年1月12日までの期間限定で「復刻! 初代アンパンマン列車」として運転される場合があります。この列車もコンセント・Wi-Fiはありません。
※上記は主要駅の時刻です。最新の詳細な時刻や運転日、編成については、ご乗車前にJR四国の公式サイト等で必ずご確認ください。
使用車両の編成と特徴
特急あしずりの最も重要なポイントは、運用される車両が「2700系」と「2000系」の2種類あり、どちらにあたるかで快適性が大きく異なる点です。
最新鋭の2700系気動車
2019年にデビューしたJR四国の最新鋭特急車両です。現代のニーズに応える快適な設備が最大の魅力であり、快適な移動を約束してくれます。外観は「ネオ・ジャポニズム」をコンセプトにした、情熱的なディープレッドが特徴です。
この車両は、カーブ区間を高速で通過できる「制御付き自然振子式」という高性能な車体傾斜装置を備えており、揺れが少なく快適な乗り心地を提供します。通常は2両または3両で運転され、一部列車には上質な空間のグリーン車も連結されます。

先駆的な2000系気動車
1989年に世界で初めて実用化された「制御付き自然振子式」の気動車で、JR四国の高速化に大きく貢献した歴史的な車両です。登場から30年以上が経過し、現在も活躍を続けています。
しかし、設計が古いため、現代の旅行者に不可欠ともいえる設備が備わっていません。具体的には、座席コンセントや車内Wi-Fi、バリアフリー対応のトイレやスペースがない点が、2700系との決定的な違いです。
これらのことから、予約する列車がどちらの車両であるかを事前に確認することが、後悔しない列車選びの鍵となります。

表:2700系と2000系の主な設備比較
項目 | 2700系 | 2000系 |
デビュー年 | 2019年 | 1989年(試作車) |
座席コンセント | 全席に設置 | なし |
車内Wi-Fi | あり(無料) | なし |
バリアフリー設備 | あり | なし |
大型荷物置き場 | あり | なし |
車体傾斜装置 | 制御付き自然振子式 | 制御付き自然振子式 |
快適な旅を支える車内設備とサービス
乗車時間を快適に過ごせるかどうかは、車内設備に大きく左右されます。ここでは、車両ごとの具体的な設備とサービスについて、さらに詳しく見ていきましょう。
2700系での移動は、非常に快適なものとなります。最大の利点は、全ての座席の肘掛け部分にコンセントが設置されていることです。これにより、スマートフォンやノートパソコンのバッテリー残量を気にすることなく、移動時間を有効活用できます。また、無料の公衆無線LANサービス「JR-SHIKOKU FREE Wi-Fi」も利用可能です。各車両のデッキには大型のスーツケースなどを置ける荷物スペースが完備されているため、荷物が多い旅行者にも優しい設計です。さらに、車いすスペースや対応した多機能トイレも設置されており、誰もが安心して利用できる環境が整っています。
一方、2000系に乗車する場合は、事前の準備が大切になります。前述の通り、2000系には座席コンセントや車内Wi-Fiは一切ありません。長時間の移動で電子機器を使用する予定がある場合は、モバイルバッテリーを忘れずに持参することをお勧めします。また、バリアフリー設備も備わっていないため、車いすでの利用や介助が必要な方は、2700系で運行される列車を選ぶ必要があります。このように、同じ「あしずり」という名前の特急でも、サービスに著しい差があることを理解しておくことが求められます。
指定席と自由席の違いと選び方

特急あしずりには、他の多くの特急列車と同様に「指定席」と「自由席」が設定されています。それぞれの特徴を理解し、旅のスタイルに合わせて選ぶことが賢明です。
指定席は、乗車する列車と座席をあらかじめ確保するものです。メリットは、必ず座れるという安心感でしょう。特に、週末や連休、観光シーズンなどの繁忙期には、自由席が満席になる可能性が高いため、指定席の予約を強く推奨します。指定席は、JRの「みどりの窓口」や主な旅行会社のほか、JR西日本のネット予約サービス「e5489」でも購入可能です。
一方、自由席は、乗車する列車と号車は決まっていますが、座席は指定されていません。自由席車両内の空いている席に自由に座れます。メリットは、指定席特急券よりも料金が若干安価であることや、急な予定変更にも対応しやすい柔軟性です。ただし、座席の確保は保証されておらず、混雑時には通路に立つことになるリスクを伴います。
したがって、日程が確定しており、快適な移動を重視するなら指定席、料金を少しでも抑えたい場合や、比較的空いている平日昼間の移動であれば自由席、といった使い分けが考えられます。
特急あしずり運用を深く知るためのポイント
ここでは、より快適な旅行計画を立てるために、特急あしずりの少しマニアックな運用情報や、周辺情報について掘り下げていきます。
- 平日と休日の運用の違いとは?
- 乗車率と混雑状況の傾向
- 宿毛駅や高知駅での接続列車
- 観光客に人気の沿線スポット紹介
- まとめ:特急あしずり運用の要点
平日と休日の運用の違いとは?

特急あしずりの運行ダイヤは、基本的に平日と休日(土日祝)で大きな違いはありません。毎日同じ時刻に同じ本数が運転されるため、曜日を問わず同じように利用できます。
しかし、唯一にして最大の注意点が存在します。それは、ゴールデンウィークやお盆、年末年始といった、一年で最も混雑する「最繁忙期」の車両運用です。
この期間、JR四国は本州の岡山と高知を結ぶ、より利用者の多い特急「南風」の輸送力増強を最優先します。そのため、保有数の限られている最新鋭の2700系車両を「南風」の増結に集中投入することがあります。その結果、普段は2700系で運転されているはずの特急「あしずり」の一部列車が、旧型の2000系に車両変更されてしまう場合があるのです。
このため、最繁忙期に2700系の快適な設備を期待して予約したつもりが、当日ホームに行ってみると2000系だった、という事態が起こり得ます。これは、JR四国の限られた経営資源の中での合理的な判断ですが、利用者にとっては注意が必要なポイントです。最繁忙期にご利用の際は、設備に過度な期待をせず、モバイルバッテリーを持参するなどの対策をしておくと安心でしょう。
乗車率と混雑状況の傾向

特急あしずりの混雑状況は、時期や時間帯によって大きく変動します。
平日の日中であれば、比較的乗車率は低く、自由席でも座席を確保しやすいことが多いです。ただし、朝夕のラッシュ時間帯は、高知市近郊の区間(高知〜伊野・佐川あたり)で通勤・通学利用者が増え、少し混み合うことがあります。
一方、週末や祝日、特に連休や夏休みなどの観光シーズンは、状況が一変します。観光客の利用が集中するため、乗車率が高まり、自由席は始発駅である高知駅や中村駅で満席に近くなることも珍しくありません。特に、景色の良い窓側の席から埋まっていく傾向があります。
これらのことから、週末や観光シーズンに利用する場合は、早めに指定席を予約することが快適な旅の鍵となります。自由席を利用する際は、発車時刻より少し早めにホームに並ぶことをお勧めします。
宿毛駅や高知駅での接続列車
特急あしずりは、他の交通機関との接続も考慮されています。
高知駅での接続
高知県の玄関口である高知駅では、さまざまな列車に乗り換えることができます。最も重要なのは、岡山方面へ向かう特急「南風」との接続です。多くの「あしずり」は、岡山方面からの「南風」の到着を受け、または岡山方面への「南風」へ乗り継ぎやすいダイヤが組まれています。これにより、本州方面からスムーズに高知県西部へアクセスすることが可能です。その他、ごめん・なはり線やJR土讃線の普通列車、高知市内を走る路面電車「とさでん交通」への乗り換えも便利です。

中村駅・宿毛駅での接続
四万十川観光の中心地である中村駅や、高知県西端の宿毛駅では、主に地域の足となる普通列車や路線バスへの接続が中心となります。特に、日本最後の清流といわれる四万十川の遊覧船乗り場や、景勝地として名高い足摺岬へ向かうには、中村駅からバスに乗り換えるのが一般的なルートです。これらのバスは列車の到着時刻にある程度接続していますが、本数が限られているため、事前に時刻を確認しておくことが大切です。
観光客に人気の沿線スポット紹介
特急あしずりの沿線には、高知の豊かな自然を満喫できる観光スポットが点在しています。
まず、高知駅から少し西へ向かうと、伊野駅周辺で「仁淀ブルー」と称される美しい清流、仁淀川に出会えます。カヌー体験や沈下橋巡りなどが人気です。
列車がさらに西進し、土佐くろしお鉄道線内に入ると、いよいよ四万十エリアです。路線は四万十川に沿うように走り、車窓からは雄大な川の流れや、川にかかる沈下橋の風景を楽しめます。観光の拠点となる中村駅で下車すれば、レンタサイクルで沈下橋を巡ったり、屋形船で川下りを体験したりと、四万十川を存分に味わうことができます。
終点の宿毛は、歴史ある城下町であり、新鮮な海の幸も魅力です。また、少し足を延せば、咸陽島(かんようとう)の夕日など、美しい景観が待っています。特急あしずりを利用することで、これらの魅力的なスポットへ効率よくアクセスすることが可能です。
まとめ:特急あしずり運用の要点
この記事では、特急あしずりの運用に関する様々な情報を解説してきました。最後に、快適な旅行計画を立てるための重要なポイントをまとめます。
- 特急あしずりは高知と中村・宿毛を結ぶJR四国の特急列車
- 運行は1日7往復が基本でビジネスや観光に利用しやすい
- 使用車両は最新鋭の2700系と旧型の2000系の2種類
- 2700系はWi-Fiと全席コンセントを完備し非常に快適
- 2000系にはコンセントやWi-Fiなどの現代的な設備がない
- バリアフリー設備も2700系のみの対応で注意が必要
- 予約前に列車ごとの使用車両を確認することが後悔しないコツ
- 指定席はe5489やみどりの窓口で早めに予約するのがおすすめ
- 最繁忙期には2700系運用が2000系に変更されることがある
- これは特急南風への車両集中投入が理由
- 週末や観光シーズンは混雑するため指定席が安心
- 高知駅では岡山方面の特急南風との接続が考慮されている
- 中村駅は四万十川や足摺岬観光への玄関口
- 沿線には仁淀川や四万十川など自然豊かな観光地が多い
- モバイルバッテリーを持参すると車両を問わず安心できる