こんにちは。Shikokuレールノート 運営者の「よんてつ」です。
岡山駅から山陰方面(松江・出雲市)へ向かう際、必ずお世話になるのが「特急やくも」です。しかし、この岡山駅の乗り換え、実は慣れている人でも少し緊張するポイントがいくつかあります。特に新幹線からの乗り換え時間が短い場合、「どの改札を通ればいいの?」「お弁当はどこで買えるの?」と焦ってしまうことは避けたいですよね。
さらに、2024年の春に実施された「全席指定席化」から1年以上が経過し、かつてのような「自由席に並んで座る」という光景は完全に過去のものとなりました。2025年12月現在、新型車両273系もすっかり定着しましたが、その分「予約なしで飛び乗った場合のトラブル」や「新しい座席設備の使い勝手」に関するリアルな悩みも増えています。
この記事では、私自身が何度も足を運んで確認した「現場の生の情報」を詰め込みました。
- 新幹線改札から在来線ホームへ、絶対に迷わないための「色」と「看板」の見分け方
- 「とりあえず乗ってから精算」は通用する?全席指定化後の厳格な運用ルール
- 新型273系に乗るなら知っておきたい、足元表示の罠とセミコンパートメントの魅力
- ホームに降りてからでは遅い!絶品の駅弁や限定グッズを確実に入手する場所
岡山駅の特急やくも乗り場への移動ルート
岡山駅は、新幹線と在来線が立体交差するターミナル駅です。構造自体はそこまで複雑ではありませんが、人の多さと情報の多さが焦りを生みます。ここでは、新幹線の座席を立ってからやくもの座席に座るまで、シミュレーションするように詳細に解説します。

新幹線からの乗り換え時間と手順
新幹線ホーム(3階)から降りてくると、2階のコンコースに到着します。ここで運命の分かれ道となるのが「改札口の選択」です。岡山駅には「出口(改札外へ出る)」と「乗り換え口(在来線へ移動)」の2種類が並んでいますが、ここで間違えて「出口」を出てしまう旅行者が後を絶ちません。
正解は、「紫色」のゲートです。床の誘導サイン、頭上の吊り看板、そして改札機自体が紫色で統一されている「在来線乗り換え改札」を目指してください。黄色い改札機は出口です。もし間違えて出口を出てしまうと、特急券が回収されてしまったり、再入場の列に並び直したりと、タイムロスは致命的です。
乗り換え改札を通ると、そこは「中2階」と呼ばれる在来線コンコースです。ここから各ホームへ降りていく構造になっています。やくもの乗り場へは、改札を通ってそのまま直進するのが基本ルートです。
【重要】乗り換え時間のリアルな見積もり
時刻表上の乗り継ぎ標準時間は「8分」などと記載されていますが、これは「迷わず、トイレにも寄らず、早足で歩いた場合」の理論値です。 実際には、新幹線の降車位置が階段から遠かったり、乗り換え改札が混雑していたりします。さらに、後述する駅弁購入やトイレを含めると、最低でも20分の余裕を持っておくのが、精神衛生上も「旅を楽しむため」にも絶対におすすめです。

基本は2番線だが発車標の確認必須

在来線コンコースを突き当たりまで進み、階段を降りたところが「2番のりば」です。特急やくもは、9割方この2番のりばから発車します。ホームに降りれば、「特急やくも」と書かれた自販機や待合室があり、山陰への旅情を掻き立ててくれます。
しかし、「やくもは2番線」と思い込むのは非常に危険です。夕方のラッシュ時や、臨時列車が走るシーズン、あるいはダイヤ乱れ発生時には、隣の1番のりば、あるいは全く別の場所にある3番・4番のりばに変更されることがあります。
特に3番・4番のりばは、山陽本線や赤穂線などが発着するホームで、2番のりばとは階段の位置が異なります。もし間違えて2番ホームに降りてしまい、そこで「本日のやくも号は4番のりばです」というアナウンスを聞いたとしたら……。重い荷物を持って再び階段を駆け上がり、コンコースを走って移動するという悪夢を見ることになります。
「思い込み」を捨ててLEDを見よう
コンコースの天井には、フルカラーLEDの発車標が設置されています。ここで必ず「やくも〇〇号」の文字と、その右端にある「のりば番号」を目視確認してください。スマホの乗り換え案内アプリの情報も正確ですが、当日の突発的な変更(遅延による番線変更など)は駅の掲示板が最速かつ確実です。
自由席は廃止!全席指定のルール

2024年3月の全車指定席化から1年以上が経過し、このルールは完全に定着しました。かつて存在した「自由席特急券」は廃止され、現在は座席指定を受けていない乗客は、原則として着席することができません。
2025年2月までは、通勤定期券「パスカル」利用者向けに「普通車の空席に座ってもよい」という経過措置がありましたが、2025年12月現在、その特例期間も終了しています。 つまり、現在は「指定席券を持たずに座席に座ることは、いかなる理由があってもルール違反」という厳格な運用になっています。
もし予約をせずに乗車してしまった場合、車掌さんから指定席券を購入することになりますが、満席の場合はデッキで立っているしかありません。また、車内で購入する場合、割引が一切適用されない正規料金となるため、事前予約に比べて数百円以上損をすることになります。「空いている席に適当に座ればいいや」という考えは、現在のやくもでは通用しないと肝に銘じておいてください。
(出典:JR西日本『山陽新幹線・在来線特急における一部トクトクきっぷの発売見直しについて』https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240925_00_press_tokutokukippu.pdf)
予約がない時の切符購入方法

「新幹線が遅れて予定の列車に乗れなかった」「急に思い立って旅に出た」という場合でも、焦る必要はありません。切符を購入する手段はいくつか用意されています。
最もアナログで確実なのは、乗り換え改札の手前(新幹線側)または改札を出た直後(在来線側)にある「みどりの券売機」です。ここではシートマップを見ながら座席を選ぶことができます。
しかし、私が強く推奨するのは、JR西日本のネット予約「e5489(イーゴヨヤク)」の活用です。全席指定化以降、チケットレスサービスが拡充され、駅の券売機価格よりも安価に設定されていることがほとんどです。
手順は簡単です。
1. スマホでe5489にアクセス。
2. 乗車する列車と座席を選択。
3. クレジットカードで決済。
これだけで完了です。切符を受け取る必要すらなく、スマホの画面を見せるだけ(実際には改札を通るためのICカードや乗車券があれば、画面提示も省略できるケースが多い)で乗車できます。発車2分前まで何度でも変更可能なタイプの商品を選べば、ホームに向かうエスカレーターの中で予約を確定させる、なんていう離れ業も可能です。
エレベーター利用と荷物の移動
山陰旅行といえば、出雲大社への参拝や温泉巡りなど、荷物が多くなりがちです。スーツケースを持っての移動において、エレベーターの位置把握は死活問題です。
新幹線乗り換え改札から2番のりばへ向かう際、エレベーターは「コンコースの中央付近」に設置されています。メインの階段の裏側に隠れるような位置にあるため、少し見つけにくいかもしれません。案内表示の「エレベーター」マークを見落とさないようにしてください。
注意点として、エレベーターでホーム(1階)に降りた場所は、列車の編成の中ほど(2号車や3号車付近)になることが多いです。もし、グリーン車(1号車)を予約している場合は、ホームに降りてからさらに先頭方向へ歩く必要があります。また、2番のりばのホームは一部傾斜がついている箇所があるため、キャスター付きのスーツケースから手を離さないよう注意してください。勝手に転がっていくと大変危険です。

岡山駅の特急やくも乗り場で役立つ車両情報
無事にホームにたどり着いたとしても、まだ安心はできません。「自分が予約した5号車はどこ?」「新型車両だと聞いていたけど、足元のマークが分からない」といった混乱はよく起こります。ここでは、車両とホーム上の設備について、さらに詳しく掘り下げます。

新型273系の投入と足元表示の違い
2024年にデビューした新型車両「273系」。宍道湖の夕日やたたら製鉄の炎をイメージした「やくもブロンズ」の車体は、ホームに入線してきた瞬間に特別な旅の始まりを感じさせてくれます。2025年現在、定期列車はほぼ全てこの273系に統一されています。
ホームでの待ち位置ですが、足元には「273系」のイラストやロゴが描かれた乗車位置案内がペイントされています。旧型の381系時代の「〇〇系」といった古い表示がうっすら残っている場所もありますが、無視して「ブロンズ色の新しいマーク」を探してください。
また、電光掲示板には「足元表示:三角の1~4」のように記号で案内されることもあります。この「三角」や「白線」といったアナウンスを聞き逃さないようにしましょう。新型車両はドアの位置や数が旧型と異なるため、古い感覚で待っていると、目の前に壁が来てしまうことになります。
グリーン車や各号車の編成表
特急やくもは、基本的には4両編成で運行されますが、週末や繁忙期には8両編成に増結されることが日常的にあります。ここで注意が必要なのが「号車番号」です。
出雲市方面の先頭が1号車(グリーン車・セミコンパートメント)です。岡山寄りの最後尾が4号車となります。もし8両編成で運行される場合は、岡山寄りに5号車~8号車が連結されます。
つまり、グリーン車に乗りたい場合は、ホームのかなり端(出雲市寄り)まで歩く必要があります。ギリギリに到着して4号車付近から乗ってしまうと、車内を3両分も移動することになり、揺れる車内での移動はかなり体力を消耗します。
| 号車 | 1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 |
|---|---|---|---|---|
| 座席種別 | グリーン車 セミコンパートメント | 普通車指定席 (バリアフリー) | 普通車指定席 | 普通車指定席 |
| 特徴 | 1+2列のゆったり配置 グループ向け個室あり | 車椅子対応座席 多機能トイレあり | 一般的な指定席 | 一般的な指定席 |
※増結時は5〜8号車(全て普通車指定席)が後ろに繋がります。
乗り場近くで買える駅弁と売店

「列車旅の楽しみは駅弁!」という方も多いでしょう。しかし、ここで最大の忠告です。「ホームに降りてから駅弁を選ぼう」と思ってはいけません。
2番のりばのホーム上にも小さな売店(セブンイレブン キヨスク)はありますが、店舗面積が狭く、おにぎりやサンドイッチ、飲み物はあっても、「豪華な幕の内弁当」や「岡山名物・祭ずし」の品揃えは限定的です。夕方以降は売り切れていることも珍しくありません。
正解は、「中2階のコンコースにある『おみやげ街道』で買う」ことです。新幹線乗り換え改札を出てすぐの場所に、大規模なお土産・駅弁売り場があります。ここでは数十種類の駅弁が山積みされており、温かいお茶やお酒、おつまみも豊富に揃っています。
「荷物になるからホームで買おう」という油断が、3時間のひもじい思いに繋がります。必ずコンコースで兵糧を確保してから、階段を降りてください。
コンセントやWi-Fi設備の有無
新型273系の最大のメリットとも言えるのが、電源環境の劇的な改善です。かつての381系時代は「コンセントがない!充電が切れる!」という悲鳴がSNSに溢れていましたが、現在は「全席コンセント完備」が標準となりました。
設置場所は、普通車であれば前の座席の背面、または肘掛けの先端部分です。AC100Vの家庭用コンセント形状ですので、スマホの充電器はもちろん、ノートPCの電源確保も問題ありません。
Wi-Fiに関しては「JR-WEST FREE Wi-Fi」が飛んでいます。ただし、伯備線は山間部を縫うように走る路線であり、長いトンネルも多いため、通信が途切れるエリアがどうしても存在します。動画のストリーミング再生などは安定しない場合があるため、あらかじめダウンロードしておくなどの対策をしておくと完璧です。
喫煙所・トイレの攻略:長時間の移動を快適に過ごすために
岡山から出雲市までは約3時間の長丁場です。生理現象のコントロールは旅の快適性を左右します。特に喫煙者の方は、シビアな現実を把握しておく必要があります。

【喫煙】「ラスト・スモーキング」は岡山駅新幹線ホームで
まず残酷な現実ですが、新型「やくも(273系)」は全車完全禁煙です。喫煙ルームはありません。 さらに重要なのが、2024年春をもって新幹線車内の喫煙ルームも全廃されているという点です。「新幹線に乗ってから一服」はもう不可能です。
タバコを吸う最後のチャンスは、岡山駅の新幹線ホーム(またはコンコース)にある喫煙ルームのみとなります。 ここで最大の注意点があります。「在来線のりかえ改札」を通過してしまうと、その先(在来線ホーム・コンコース)には喫煙所が一切ありません。 乗り換え時間に余裕があるからといって先に在来線エリアに入ってしまうと、出雲市駅に到着するまでの約3時間、強制的に禁煙を強いられます。必ず乗り換え改札を通る前に、新幹線エリアで済ませておいてください。
【トイレ】駅で並ぶより「動くホテル」の設備を活用せよ
トイレに関しては、「駅のトイレは混雑しているし、衛生面が不安」という心配は無用です。むしろ、発車してから273系の車内トイレを利用することを強くおすすめします。
新型273系のトイレ設備は、ビジネスホテル並みかそれ以上に充実しています。
- 清潔な洋式トイレ: もちろん温水洗浄便座(ウォシュレット等)完備です。
- 女性専用パウダールーム: 鏡周りの照明が工夫されており、メイク直しも快適。
- 男性用小便器: 個室とは別に設置されており、回転率が良い。
- 車椅子対応大型トイレ: バリアフリー対応で広々としています。
あえて駅の古いトイレに並ぶ必要はありません。揺れる車内での利用には注意が必要ですが、清潔さと快適さにおいては、デビューしたばかりの273系車内設備の方が圧倒的に「上」です。

岡山駅の特急やくも乗り場利用のまとめ
ここまで、2025年12月現在の最新情報を元に、岡山駅での「やくも」乗り場攻略法を解説してきました。
ポイントを改めて整理します。
- 改札は「黄色(出口)」ではなく「紫色(乗り換え)」を通る。
- ホームは「2番のりば」が基本だが、LED発車標の確認はサボらない。
- 「自由席」も「特例乗車」もない。e5489で事前予約が鉄則。
- 駅弁とお土産は、ホームに降りる前のコンコースで確保する。
新型車両273系の導入で、以前のような「揺れて酔う」というイメージは払拭され、快適でモダンな特急列車へと生まれ変わりました。しかし、その快適さを享受するためには、スムーズな乗り換えと事前の準備が不可欠です。この記事が、あなたの山陰への旅をより良いものにする手助けになれば幸いです。
免責事項
本記事の情報は2025年12月時点のものです。年末年始やダイヤ改正時期には、列車の編成やのりばが変更になる可能性があります。最新の運行状況はJR西日本の公式アプリ「WESTER」や公式サイトで必ずご確認ください。

