こんにちは。Shikokuレールノート 運営者の「よんてつ」です。
ついにこの時が来ましたね。JR四国の次世代を担う新しい顔、3600系がいよいよ姿を現しました。ハイブリッド方式ということで、これまでの気動車とは一味違う走りを見せてくれそうです。「いつから乗れるの?」「座席はどんな感じ?」「どの路線で走るの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
特に、長年親しまれてきたキハ40系などの国鉄型気動車がどうなるのかも、ファンとしては見逃せないポイントですよね。今回は、そんな注目の新型車両について、公式情報を基に詳しく解説していきます。
- 2026年6月の営業運転開始に向けた具体的なスケジュールと試験走行の予定
- 高徳線や徳島線など徳島エリアを中心とした運用路線の詳細
- ハイブリッドシステム採用によるスペックや乗り心地の向上ポイント
- 海と空をイメージした外観デザインやクロスシートを含む車内設備
JR四国 3600系ハイブリッド新型気動車の概要と特徴
まずは、今回発表された3600系がどのような車両なのか、その基本情報から見ていきましょう。デビュー時期や走る場所、そして気になる車内の様子まで、私たちが一番知りたいポイントをまとめました。

2026年6月のデビューと運行開始日
鉄道ファンのみならず、四国に住む私たちにとっても最大の関心事である「いつから乗れるのか」という点について、詳しく見ていきましょう。
JR四国が2025年12月10日に発表した情報によれば、待望の3600系新型気動車の営業運転開始は、2026年6月を予定しているとのことです。発表を聞いて、「えっ、まだ半年も先なの?」と思われた方もいるかもしれませんし、「意外とすぐじゃん!」と感じた方もいるでしょう。私個人の感覚としては、これだけの新機軸を詰め込んだ車両にしては、かなりスムーズな投入スケジュールだなという印象を受けています。
今回完成したのは、あくまで「量産先行車」と呼ばれる最初の4両(2編成)です。これが何を意味するかというと、いきなり大量生産してお客様を乗せるのではなく、まずは少数の車両で徹底的にテストを行う期間が必要だということです。具体的には、2026年1月から各種性能確認試験や乗務員訓練に入るとアナウンスされています。つまり、私たちが駅のホームや沿線で、試運転中のピカピカの3600系を目撃できるチャンスは、もう年明けすぐから始まるということなんですね。
この半年間の試験期間中には、ハイブリッドシステムの動作確認はもちろんのこと、急勾配での発進テストや、異常時の対応訓練など、安全に関わるあらゆる項目がチェックされます。JR四国としては初となる「シリーズハイブリッド方式」を採用しているため、従来のディーゼル車とは勝手が違う部分も多く、慎重にデータを取っていく必要があるのでしょう。特に、バッテリーの充放電サイクルが四国の気候や路線の特性に合っているかなど、実地でしか分からないデータの収集は極めて重要です。
ちなみに、鉄道車両のデビュー月というのは、ダイヤ改正の時期(3月)に合わせることが多いのですが、今回は6月という少し珍しいタイミングです。これはおそらく、3月のダイヤ改正には間に合わせるというよりも、車両の完成と試験の進捗に合わせて、準備ができ次第投入するという、堅実な姿勢の表れではないかと推測しています。
正式な「Xデー」、つまり営業開始日や、それに伴う出発式などのイベント情報はまだ公開されていませんが、これまでの例を見ると、おそらくデビューの1〜2ヶ月前、つまり2026年の4月から5月頃には詳細な発表があるはずです。初夏の爽やかな風と共に、新しいブルーの車両が四国を走り出す姿を想像すると、今からワクワクが止まりません。一番列車に乗るための切符争奪戦も激しくなりそうですが、それもまた楽しみの一つですよね。
運用路線は高徳線や徳島線が中心
次に、この新型車両3600系がどこで走るのか、その運用エリアについて深掘りしていきましょう。発表によると、今回の量産先行車は「徳島運転所」に配置されることが決定しています。これは非常に理にかなった選択だと言えます。
徳島エリアは、四国の中でも特に非電化路線(電気が通っておらず、電車が走れない路線)が集中している地域です。高松と徳島を結ぶ大動脈である高徳線をはじめ、徳島県を横断する徳島線、太平洋沿岸を走る牟岐線、そして鳴門の渦潮でおなじみの鳴門線など、多くの路線がディーゼルカーによって支えられています。これらの路線で現在主力として活躍しているのが、国鉄時代から走り続けているキハ40形やキハ47形、そしてJR化後に導入された1000形や1200形、1500形といった車両たちです。
3600系は、まず以下の路線で順次運行を開始する計画となっています。
- 高徳線(高松~徳島):最高速度130km/h対応の高速化された路線であり、特急「うずしお」が行き交う幹線です。ここで3600系の基本性能が試されます。
- 徳島線(徳島~阿波池田):「よしの川ブルーライン」の愛称を持つ、吉野川沿いを走る風光明媚な路線です。比較的駅間が長い区間もあり、ハイブリッドの燃費性能が活きるでしょう。
- 牟岐線(徳島~阿波海南):「阿波室戸シーサイドライン」とも呼ばれ、通学需要から観光需要まで幅広い利用客を運びます。
- 鳴門線(池谷~鳴門):短い路線ですが、観光客の利用も多い重要な支線です。
なぜ最初に徳島なのかと考えると、やはり老朽化した車両、特にキハ40系列が多く残っているエリアだからという理由が大きいでしょう。また、高徳線のように高速運転が可能な線路条件の良い路線があるため、新型車両の性能確認試験を行うフィールドとしても最適なんです。高松近郊の通勤・通学ラッシュにも対応する必要がありますから、2両編成で定員272名という3600系のキャパシティは、混雑緩和の面でも期待されています。
将来的には量産車を含めて合計35編成・70両というかなりの数が製造される予定ですから、徳島エリアだけでなく、愛媛や高知、あるいは香川の他の非電化区間へも進出していく可能性は十分にあります。ただ、当面の間は「徳島の新しい顔」として定着していくことになるでしょう。徳島駅に行けば、最新の3600系と、レトロなキハ40系が並ぶシーンが見られるかもしれません。新旧交代の過渡期ならではの貴重な光景ですね。

近畿車輛製のスペックや最高速度
車両のスペック、いわゆる「カタログデータ」を見るのが好きな方も多いですよね。私もその一人です。今回の3600系は、近畿地方の大手鉄道車両メーカーである「近畿車輛」が製造を担当しました。近畿車輛といえば、JR西日本の車両や海外の車両など数多くの実績を持つ名門メーカーですから、品質や信頼性については折り紙付きと言って良いでしょう。

基本的なスペックを見てみると、3600系は「地方路線の普通列車」としての役割に徹した、非常に堅実な設計になっていることが分かります。最高運転速度は100km/hに設定されています。これを聞いて「あれ?特急の2700系は130km/hなのに、ちょっと遅くない?」と思った方もいるかもしれません。しかし、普通列車としての運用を考えれば、100km/hという速度は必要にして十分なんです。
| 項目 | JR四国 3600系 主要諸元 |
|---|---|
| 車体構造 | ステンレス製軽量車体(耐候性向上) |
| 編成構成 | 2両1編成(Mc2:3600番台 + Mc1:3650番台 ) |
| 定員 | 272名(座席定員+立席定員) |
| 最高速度 | 100 km/h |
| 駆動システム | シリーズハイブリッド方式(ディーゼル発電機+蓄電池+VVVFインバータ制御) |
| 製造メーカー | 近畿車輛 |
車体はステンレス製を採用しています。ステンレス車両のメリットは、なんといっても錆びにくく、塗装のメンテナンスが少なくて済むことです。海沿いを走ることが多い四国の路線では、潮風による塩害対策が欠かせませんが、ステンレス車体はその点でも非常に有利です。また、従来の鋼鉄製の車両に比べて軽量化できるため、燃費(今回はハイブリッドなので燃費効率)の向上にも大きく貢献します。
定員は2両編成合計で272名となっています。これは、朝夕のラッシュ時にも十分な輸送力を提供できる数字です。特に素晴らしいのは、電気式気動車(ハイブリッド)であるという点です。従来の液体変速機(自動車でいうオートマのギア)を使った気動車は、変速のたびに「ガックン」という衝撃があったり、エンジンの回転数が上がってから速度が出るまでのタイムラグがあったりしました。しかし、3600系はモーターで走るため、電車のように滑らかに加速し、変速ショックも一切ありません。最高速度という数字以上に、この「加減速の良さ」が、駅間の短い普通列車ではダイヤの正確さや乗り心地の良さに直結してくるのです。
ステンレス車体の外観デザイン
鉄道車両の印象を決定づけるエクステリアデザイン。今回の3600系は、これまでのJR四国の車両デザインの流れを汲みつつも、新時代を感じさせる非常に洗練されたものになっています。コンセプトはズバリ、「四国の美しい自然との調和」です。
まず目を引くのが、ステンレスのシルバーボディに映える鮮やかなライトブルーのカラーリングです。これは間違いなく、四国を取り囲む穏やかな海と、どこまでも広がる青空をイメージしています。JR四国のコーポレートカラーもライトブルーですが、それよりも少し明るく、軽やかな色調に見えますね。そして、車体側面には、空から海や川面に降り注ぐ光を表現したというゴールドのラインとストライプがあしらわれています。この「ゴールド」が非常に良いアクセントになっていて、単なる通勤車両ではない、上質感や未来感を演出しているように感じます。
さらに、今回落成した量産先行車には、特別な意匠が施されている点も見逃せません。車体には「SHIKOKU Hybrid Vehicle 3600」というロゴ表記とともに、きらめきの雫をモチーフにしたアクセントデザインが追加されています。これは、環境に優しいハイブリッド車であることをアピールすると同時に、地域の新しいシンボルになりたいというJR四国の願いが込められているのでしょう。
デザインの注目ポイント
- 前面形状:既存の1500形気動車を思わせる丸みを帯びた形状ですが、LEDライトの配置などが現代風にアレンジされ、より精悍な顔つきになっています。
- 側面ストライプ:斜めに入ったラインはスピード感があり、停車していても動き出しそうな躍動感があります。
- 塗装の範囲:ステンレスの地肌を活かしつつ、ドア周りや窓周りに効果的に色を配置することで、コストを抑えつつも見栄えの良さを実現しています。
このデザインなら、田園風景の中を走っても、海沿いを走っても、あるいは高松駅のような近代的な駅に停車していても、非常によく馴染むと思います。写真映えも間違いなしですね。鉄道ファンとしては、晴れた日に瀬戸内海をバックに、このキラキラした車両を撮影するのが今から楽しみでなりません。
クロスシートを含む座席配置と内装
車両の外見も大切ですが、利用者として一番長く接するのは車内の空間、特に座席です。「ロングシートばかりで旅情がないのでは?」と心配されていた方もいるかもしれませんが、安心してください。3600系には、ちゃんとクロスシート(ボックス席)が用意されています。

ただし、全車両がクロスシートというわけではありません。ここが3600系のユニークな点で、2両編成のうち、トイレが付いていない方の車両(高松側の先頭車になると思われます)に限定して、クロスシートが2組配置されるという「変則セミクロスシート」とも言えるレイアウトを採用しています。基本的には、窓を背にして座るロングシートが主体の構成です。これは、通学・通勤時間帯の混雑緩和を最優先に考えた結果でしょう。ロングシートは通路が広く取れるので、立っているお客さんも通りやすく、乗り降りがスムーズになります。
しかし、JR四国は「観光や長距離移動のニーズ」も切り捨てませんでした。わずか数組とはいえ、向かい合わせのクロスシートがあることで、グループ旅行や、お弁当を食べながらの移動といった楽しみ方が可能になります。この「基本は実用性重視、でも旅心も忘れない」というバランス感覚が、いかにも地域密着のJR四国らしいなと感じます。
内装のデザインテーマも素敵です。床面には木目調のフローリング材が採用されており、車内に入った瞬間に温かみを感じられるようになっています。無機質なグレーの床とは大違いですね。そして座席のモケット(布地)は、四国の空と海をイメージしたブルー系を基調とし、光に照らされてきらめく水面を思わせる繊細な模様が描かれています。壁面は明るい色調でまとめられ、アクセントにグレーブラウンを入れることで、落ち着きのある大人の空間に仕上がっています。
座り心地への期待
最新の車両なので、座席のクッション性や、座面の形状なども人間工学に基づいて改良されているはずです。ロングシート部分も、一人ひとりのスペースが明確になるような仕切りや窪みが設けられていることが予想され、隣の人とぶつかるストレスも軽減されるでしょう。

トイレやバリアフリー設備の詳細
これからの公共交通機関に欠かせないのが、バリアフリーへの対応です。3600系はこの点でも最新の基準をクリアした、誰にでも優しい車両になっています。

まず注目したいのがトイレです。長距離を走ることもある普通列車において、トイレの有無は切実な問題ですよね。3600系には、車いすでも利用できる広々とした洋式トイレが設置されています。これまでの古い気動車(キハ40系など)は和式トイレだったり、スペースが狭かったりして、高齢者やお子様、お体の不自由な方には使いにくい面がありました。今回、清潔で広い洋式トイレが完備されたことで、安心して列車旅を楽しめるようになります。もちろん、おむつ交換台などの設備も期待したいところです。
車内には車いすやベビーカーをご利用の方のためのフリースペースもしっかり確保されています。そして、視覚的な情報のバリアフリーとして、ドア上部などに液晶ディスプレイ(LCD)による案内表示器が設置されました。これまではLEDの文字スクロールのみだったり、そもそも表示がなかったりしましたが、LCDなら次の駅、行き先、運行情報などをイラストや多言語で分かりやすく表示できます。外国人観光客が増えている四国において、英語や中韓語での案内は必須機能と言えるでしょう。
防犯面の強化も
最近の鉄道車両のトレンドとして、車内防犯カメラの設置も標準化しています。3600系にも防犯カメラや非常通報装置が設置されており、万が一のトラブルの際にも指令所と連携して迅速に対応できる体制が整えられています。女子高生の通学や、夜間の利用でも安心して乗れる車両であることは、地域交通として非常に重要なポイントですね。
また、優先席の配色は、色覚に障がいのある方にも識別しやすい「ユニバーサルデザインカラー」のグリーンが採用されています。こうした細かい配慮の積み重ねが、利用者全員の快適さにつながっているのです。照明もすべてLED化されており、車内は従来車より格段に明るくなるはずです。夜のローカル線特有の「薄暗さ」も味ではありますが、防犯や読書のしやすさを考えれば、明るいLED照明の恩恵は大きいですね。
JR四国 3600系ハイブリッド新型気動車の技術と導入背景
ここからは少しディープな話になります。なぜ今ハイブリッドなのか、そして私たちが愛した古い車両たちはどうなってしまうのか。3600系導入の裏側にあるストーリーを深掘りします。

キハ40系など老朽車の置き換え計画
3600系導入の最大の目的であり、私たち鉄道ファンにとって最もセンチメンタルな話題。それは「国鉄型気動車の置き換え」です。現在、四国のローカル線を支えている車両の中には、製造から40年以上が経過したキハ40形やキハ47形が数多く存在しています。
これらの車両は、頑丈な鋼鉄製のボディと、唸りを上げるディーゼルエンジン、そして重厚な乗り心地で、多くのファンに愛されてきました。窓が開く車両で風を感じながら旅をするのは、今の時代では得難い贅沢です。しかし、運用するJR四国にとっては、深刻な課題の塊でもありました。
- 老朽化による故障リスク:どんなに整備しても、経年劣化による突発的なトラブルのリスクは年々高まります。
- 部品の枯渇:古い車両の部品は製造中止になっているものも多く、維持管理(メンテナンス)のコストが跳ね上がっています。
- 環境性能の低さ:昔のディーゼルエンジンは、どうしても黒煙(粒子状物質)やNOx(窒素酸化物)の排出が多く、燃費も良くありません。
- バリアフリー非対応:高いステップ(段差)があり、足の不自由な方には乗降が大変でした。
3600系は、これらの課題を一気に解決するために開発されました。計画では、今回完成した量産先行車に続き、2027年度から量産車の製造を開始。最終的には合計70両を導入し、古い気動車を順次淘汰していく予定です。つまり、あと数年のうちに、四国から「国鉄時代のエンジン音」が消えていくことになります。
寂しさは確実にあります。私自身、キハ40のボックス席で揺られる時間は大好きです。しかし、日常的に鉄道を利用する地元の方々にとっては、故障せず、夏は涼しく冬は暖かく、段差なく乗り降りできる新型車両の方が「正義」であることは間違いありません。3600系の導入は、四国の鉄道網を将来にわたって維持し続けるための、避けては通れない進化なのです。
環境に優しいハイブリッドの仕組み
では、3600系が採用した「ハイブリッド方式」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。簡単に言えば、「発電所を積んで走る電気自動車」のようなイメージです。
従来の気動車は、エンジンの回転力を変速機や推進軸(プロペラシャフト)を通じて直接車輪に伝えていました。これに対し、3600系の「シリーズハイブリッド方式」は以下のような仕組みで動きます。

- エンジンで発電:ディーゼルエンジンは車輪を回すのではなく、発電機を回すためだけに使われます。エンジンを最も効率の良い回転数で一定運転できるため、燃費が良く排ガスもクリーンになります。
- バッテリーに蓄電:発電した電気や、ブレーキをかけた時にモーターから発生する電気(回生電力)を、大容量の蓄電池に貯めます。
- モーターで走行:バッテリーからの電気と、エンジン発電機からの電気を使って、モーターを回して走ります。駆動力は100%モーターです。
ハイブリッドのメリット
- 静粛性(アイドリングストップ):駅停車時や発車待ちの時はエンジンを完全に停止します。これまでのような「ガラガラガラ…」という騒音や振動がなくなり、車内はシーンと静まり返ります。これは沿線の騒音対策にもなります。
- エネルギーの再利用:捨てていたブレーキの熱エネルギーを電気として回収・再利用できるため、燃費効率が飛躍的に向上します。CO2排出量削減効果も大きいです。
- メンテナンス性向上:複雑な機械部品(液体変速機や推進軸など)が減り、電気部品が主役になるため、保守の手間やコストが削減できます。
JR東日本のHB-E300系(リゾートビューふるさと等)やHC85系(JR東海)など、全国で導入が進むハイブリッド気動車ですが、JR四国としては初の本格導入となります。四国の険しい山道や頻繁な停車に対応できるよう、どのようなチューニングが施されているのか、技術的にも非常に興味深いところです。
2700系や1500形との比較

JR四国のファンなら、既存の車両と3600系がどう違うのか、その立ち位置が気になりますよね。ここでは代表的な2車種と比較してみましょう。
まず、特急形気動車の2700系との比較です。2700系は、カーブの多い四国の路線を高速で駆け抜けるために「制御付き自然振り子装置」という特殊な装備を持っています。エンジンで直接走り、最高速度は130km/h。まさに「走りのプロフェッショナル」です。対して3600系は、振り子装置は持たず、最高速度も100km/h。駆動方式もモーターです。2700系が「都市間を最速で結ぶアスリート」なら、3600系は「日々の生活を支えるエコでスマートなパートナー」と言えるでしょう。役割が明確に異なります。
次に、これまで普通列車の最新鋭だった1500形との比較です。1500形は2006年から導入された車両で、環境に配慮した「エコシリーズ」エンジンを積んでいますが、仕組みとしては従来の液体変速機式です。3600系はこれをハイブリッド化したことで、さらに静かでスムーズな走りを実現しています。また、1500形は1両単位(単行)での運転が可能ですが、3600系は2両固定編成が基本となっている点が大きな違いです。これは、システムが複雑なハイブリッド機器を搭載するために、2両で1つのシステムとして完結させる設計(ユニット構成)になっているためと思われます。
| 形式 | 用途 | 駆動方式 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 3600系 | 普通 | ハイブリッド | 最新技術、静粛性◎、2両編成、環境性能特化 |
| 2700系 | 特急 | ディーゼル | 振り子式、高速性能◎、長距離快適性 |
| 1500形 | 普通 | ディーゼル | 従来型最新、1両運転可、転換クロスシート車あり |
デザイン面でも、1500形の丸みを帯びた優しさと、2700系の鋭さを融合させたような雰囲気があり、まさに「JR四国デザインの集大成」といった趣があります。
量産先行車と今後の増備計画
最後に、これからの3600系の導入ロードマップを確認しておきましょう。現在は「量産先行車」として4両(2両×2編成)が登場した段階です。これはあくまでスタート地点に過ぎません。
JR四国の発表資料(出典:JR四国 公式サイト)によると、2027年度からは量産車の製作を開始し、最終的には量産先行車を含めて合計35編成・70両を製造する計画です。70両という数字は、JR四国の普通列車用気動車の保有数からすると、かなり大きな割合を占めます。これはつまり、現在非電化区間で走っている国鉄型気動車(キハ40系・キハ47形)のほぼ全て、さらには初期のJR世代気動車の一部までも置き換える規模だということです。
導入ペースは年間数編成ずつになると思われますが、2030年頃までには、四国の非電化路線の風景は一変しているでしょう。エンジンの轟音を響かせて走る列車から、モーター音で滑らかに走る列車へ。それは時代の要請であり、必然的な変化です。
しかし、35編成もあれば、四国中どこへ行っても3600系に会えるようになります。「予土線のホビートレインはどうなるの?」「観光列車への改造はあるの?」といった新たな疑問も湧いてきますが、それらは今後の発表を楽しみに待ちましょう。まずは、この新しい70両の第一歩となる量産先行車が、無事に試験を終えてデビューすることを願いたいですね。
JR四国 3600系ハイブリッド新型気動車のまとめ
3600系は、単なる新しい乗り物というだけでなく、JR四国が目指す「環境に優しく、持続可能な鉄道」を象徴する重要な車両です。ハイブリッドならではの静かでスムーズな乗り心地と、四国の自然に映えるデザイン。そして何より、老朽化した車両を置き換え、地域の足を未来へ繋ぐという大きな使命を背負っています。
実際に乗車できる2026年6月が本当に待ち遠しいですね。新しい木の香りがする車内、静かな発車、そして窓の外に広がるいつもの四国の風景。その組み合わせがどんな新しい旅の感覚を私たちに与えてくれるのか、想像するだけで胸が高鳴ります。
デビューしたら、ぜひ皆さんもその乗り心地を体験しに四国へ足を運んでみてください。そして、引退していくキハ40系たちへの感謝も忘れずに。私も一番列車に乗るべく、今から予定を空けて、カメラの準備をしておこうと思います!Shikokuレールノートでは、今後も3600系の試運転情報やデビュー当日の様子を追いかけていきますので、ぜひチェックしてくださいね。

