JR四国の路線の一つ徳島線(吉野川ブルーライン)の車両情報をお探しではありませんか? 吉野川の美しい流れに沿って走るこの路線には、個性豊かな車両が日々活躍しています。この記事では、現在運行中の車両形式一覧はもちろん、特急などで見られる他路線との共通車両についても詳しく解説。気になる新型車両導入の計画と時期や、懐かしい過去に運行されていた車両の歴史にも触れていきます。
さらに、徳島線のワンマン運転体制や効率的な車両の編成パターンと運用区間、そしてそれらを支える車両点検・整備が行われる拠点まで、徳島線の車両に関するあらゆる情報を網羅的にご紹介します。あなたの疑問を解消し、より深く徳島線の魅力を知るための一助となれば幸いです。
- 現在活躍する普通・特急・観光列車の特徴
- ワンマン運転や車両基地など効率的な運用体制
- 一時代を築いた国鉄時代の引退車両
- 次世代を担う新型ハイブリッド車両の導入計画
【車種別】徳島線 車両情報の完全ガイド
- 現在運行中の車両形式一覧を紹介
- 普通列車を支える1500形と1200形
- 特急剣山など他路線との共通車両
- 観光列車「藍よしのがわトロッコ」
- 国鉄時代から活躍するキハ47形
現在運行中の車両形式一覧を紹介

徳島線では、普通列車から特急列車、観光列車に至るまで、多様な気動車(ディーゼルカー)が活躍しています。それぞれの車両が異なる時代に生まれ、独自の役割を担っているのが大きな特徴です。
普通列車では、JR四国になってから導入された1500形、1000形、そして1000形を改造した1200形が主力です。これに加えて、国鉄時代に製造されたキハ47形も依然として定期運用に入っており、新旧の車両が共存する光景が見られます。
優等列車としては、徳島駅と阿波池田駅を結ぶ特急「剣山」が運行されており、国鉄末期の傑作とも言われるキハ185系が専用で使われています。
さらに、土休日を中心に運行される観光列車「藍よしのがわトロッコ」も人気を集めています。この列車はトロッコ車両のキクハ32形と、動力車を兼ねるキハ185形を組み合わせたユニークな編成です。このように、徳島線の車両群は、目的や用途に応じて多彩な顔ぶれが揃っており、路線全体の魅力を形作っていると考えられます。
普通列車を支える1500形と1200形

徳島線の日常的な輸送を担う中心的存在が、1500形と1200形です。これらは、JR四国の近代化戦略を象徴する車両だと言えます。
徳島線の新たな標準「1500形」
2006年に登場した1500形は、現在徳島線で最も新しく、主力となっている車両です。環境性能とバリアフリーを高い水準で両立させているのが最大の特色。クリーンなディーゼルエンジンを搭載し、排出ガスを大幅に削減しています。また、駅のホームとの段差を小さくした低床構造や、車いす対応の大型トイレを備えるなど、誰もが利用しやすい設計になっています。車内は転換クロスシートが基本で、快適な移動空間を提供しています。

新旧をつなぐ実用派「1200形」
一方、1200形は、1990年に登場した1000形気動車を改造して生まれました。この改造の主な目的は、新型の1500形と連結して一緒に走れるようにすることでした。連結器や制御システムを変更し、塗装も1500形に合わせた緑基調のデザインに改めています。
この1200形の存在は、JR四国の実用的な経営方針をよく表しています。つまり、全ての古い車両を一度に置き換えるのではなく、既存の車両に最小限の投資で改良を加え、新型車両と連携させることでフリート全体の効率を最大化するアプローチです。これにより、輸送需要に応じて1両単位での柔軟な編成が可能となり、限られた経営資源を有効に活用しています。

特急剣山など他路線との共通車両

徳島線の優等列車、特急「剣山」で活躍するのがキハ185系気動車です。この車両は、国鉄が民営化される直前の1986年に登場した特急車両で、その先進的な設計から1987年にはローレル賞を受賞した名車として知られています。
このキハ185系の運用で興味深いのは、徳島線専用の車両ではないという点です。実は、高松と徳島を結ぶ高徳線の特急「うずしお」としても運用されています。車両が所属するのも徳島ではなく高松運転所で、高松から徳島へ営業運転の「うずしお」として到着した後、そのまま「剣山」として徳島線に入るという、極めて効率的な運用が組まれているのです。
このような他路線との共通車両の運用は、車両の稼働率を高め、回送による無駄な走行を減らすための工夫です。小規模な事業者であるJR四国ならではの知恵と言えるでしょう。
また、「剣山」に使われるキハ185系には、JR四国カラーの「剣山色」のほか、国鉄時代の緑の帯を復刻した塗装の車両も存在し、鉄道ファンからの人気を集めています。さらに、週末や繁忙期には、子どもたちに大人気の「ゆうゆうアンパンマンカー」が増結されることもあり、多彩な表情を見せてくれます。


観光列車「藍よしのがわトロッコ」

2020年10月にデビューした「藍よしのがわトロッコ」は、単なる移動手段ではなく、乗ること自体が目的となる観光列車です。徳島の伝統産業である「阿波藍」をテーマにした美しいデザインが特徴で、吉野川の雄大な自然を五感で楽しむために様々な工夫が凝らされています。
この列車の編成は非常にユニークです。1号車は窓ガラスのない開放的なトロッコ車両「キクハ32形」で、風を感じながら景色を直接満喫できます。もう一両の2号車は、動力を持つ通常の特急車両「キハ185形」で、快適な座席とトイレを備えた控車としての役割を担います。
面白いのはその乗り方で、始発の徳島駅から市街地を抜ける石井駅までは2号車に乗車し、風光明媚な区間に入ってから1号車のトロッコ車両が開放される仕組みです。これにより、快適性と観光体験を両立させています。
この列車は、既存の車両を再利用・改造して生み出されました。全くの新型車両を造るのではなく、今ある資産を創造的に活用して新たな価値を生み出すという点は、JR四国の経営哲学を象徴する事例の一つと考えられます。

国鉄時代から活躍するキハ47形
徳島線を走る普通列車の中で、最も古い歴史を持つのが国鉄時代に設計されたキハ47形です。1977年から製造が始まったこの車両は、全国の非電化路線で活躍したキハ40系の一員であり、日本の鉄道輸送を長年支えてきた生き証人とも言える存在です。
その特徴は、ボックスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートの内装や、2箇所の客用扉といった、国鉄時代の近郊向け車両の標準的な仕様にあります。頑丈な鋼鉄製の車体は耐久性に優れており、製造から40年以上が経過した今なお現役で走り続けていることが、その信頼性の高さを物語っています。
ただ、現代の車両と比較すると、乗り心地や静粛性、バリアフリー対応の面では見劣りする点も否めません。最高速度も時速95kmと、後継の1500形(時速110km)に比べて控えめです。これらの理由から、キハ47形は後述する新型ハイブリッド車両による置き換え対象となっており、その役目を終える日もそう遠くないと見られています。
項目 | 1500形 | 1200形 (原型1000形) | キハ47形 |
導入年 | 2006年 | 1990年 | 1977年 |
最高速度 | 110 km/h | 110 km/h | 95 km/h |
機関出力 | 450 PS | 400 PS | 220 PS |
車内設備 | 転換クロスシート、低床構造、大型トイレ | ロングシート・転換クロスシート | セミクロスシート |
主な特徴 | 環境配慮型エンジン、バリアフリー対応 | 1500形との併結運転が可能 | 国鉄設計、片運転台 |

【運用と未来】徳島線 車両情報の変遷
- 柔軟な車両の編成パターンと運用区間
- 徳島線のワンマン運転体制について
- 車両点検・整備が行われる拠点は高松
- 過去に運行されていた車両の歴史
- 新型車両導入の計画と時期を解説
- 【まとめ】進化する徳島線 車両情報
柔軟な車両の編成パターンと運用区間

徳島線の車両運用は、輸送需要にきめ細かく対応するための柔軟性が大きな特徴です。特に普通列車では、時間帯や区間に応じて1両から4両程度まで、様々な長さの編成で運転されています。
これを可能にしているのが、1500形や1000形といった単独(1両)での運転が可能な車両の存在です。利用者の少ない昼間の時間帯や、末端の区間ではこれらの車両が1両で走り、朝夕のラッシュ時には2両、3両と連結して輸送力を確保します。
前述の通り、1500形と1200形は相互に連結できるため、この組み合わせによる2両編成や3両編成も頻繁に見られます。一方、キハ47形は基本的に2両編成で運用されます。
特急「剣山」も同様に、通常は2両編成ですが、利用者が増える時期には3両や4両に増結されます。このように、車両を細かく組み合わせることで、無駄をなくし、効率的な輸送を実現しているのです。主な運用区間は徳島駅から終点の阿波池田駅までですが、一部の列車は途中の穴吹駅などで折り返し運転を行っています。
徳島線のワンマン運転体制について
地方交通路線において、効率的な運営は持続可能性を左右する鍵となります。徳島線では、その一環として多くの普通列車でワンマン運転が実施されています。ワンマン運転とは、運転士が一人で運転業務と乗客の乗り降りに関する業務(ドアの開閉や運賃収受など)を行う運行形態です。
この体制に大きく貢献したのが、1990年に登場した1000形気動車でした。この車両は、ラッシュ時のスムーズな乗降と、閑散時のワンマン運転のしやすさを両立させるため、非常にユニークなドア配置を採用しています。車体の中央に幅の広い両開きドアを1つ、そして両端に幅の狭い片開きドアを2つ、合計3つのドアを備えているのです。
この設計により、利用者の多い時間帯は3つのドア全てを使い、ワンマン運転を行う時間帯は中央のドアを締め切り、運転士の目が届きやすい前後のドアだけで乗降を扱う、といった柔軟な運用が可能になりました。この1000形の思想は、その後の車両運用にも影響を与えており、徳島線の効率的な運行体制を支える基盤となっています。
車両点検・整備が行われる拠点は高松
徳島線を走る車両たちですが、日々の点検や大規模な整備はどこで行われているのでしょうか。徳島駅に隣接して徳島運転所がありますが、実は特急「剣山」で使われるキハ185系をはじめ、多くの車両の重要な検査・整備は、香川県の高松運転所が拠点となっています。
これは、JR四国全体の視点で見ると非常に合理的な体制です。複数の路線で共通運用される車両を一箇所に集約することで、整備施設や専門技術を持つ人員を効率的に配置できます。もし各路線ごとに大規模な整備拠点を設けると、設備や人員の面で重複投資となり、経営上の負担が大きくなるためです。
特急「剣山」のキハ185系が高徳線の「うずしお」と共通で使われ、営業運転をしながら高松と徳島を往復しているのは、この整備体制とも密接に関連しています。車両を効率的に運用しながら、整備拠点である高松へ移動させるという、一石二鳥の仕組みなのです。このように、車両が実際に走る路線と、整備を行う拠点が異なる場合がある点は、鉄道の奥深い運用の世界を垣間見せてくれます。
過去に運行されていた車両の歴史

現在の徳島線の車両フリートを理解するには、かつてこの路線を彩った名優たちの存在が欠かせません。特に、国鉄時代から長きにわたって急行列車として活躍したキハ58系・キハ65系は、徳島線の歴史を語る上で象徴的な車両です。
かつて徳島線には、急行「よしの川」が運転されており、この列車の主役がキハ58系でした。全国の非電化幹線の花形だったこの車両は、多くの人々の足として親しまれました。
しかし、時代の変化とともに、より速く快適な特急へのニーズが高まります。そこで、特急「剣山」がキハ185系で新設されると、急行「よしの川」はその役目を終え、キハ58系は急行列車の座を降りました。その後、一部は普通列車として余生を送りましたが、1500形などの新しい普通列車用車両が登場すると、徐々に活躍の場を失っていきます。
そして2008年、ついにJR四国からキハ58系の定期運用が消滅し、一つの時代が幕を閉じました。この一連の流れは、路線の看板である優等列車の近代化が、結果的に路線全体の車両の世代交代を促すという、鉄道のフリート更新における典型的なパターンを示しています。
新型車両導入の計画と時期を解説

画像出典:JR四国
徳島線の車両フリートは、今、大きな変革期の入り口に立っています。JR四国は、老朽化したキハ40系・47形などを置き換えるため、次世代のハイブリッド式気動車を導入する計画を公式に発表しました。
新型車両の仕組みとメリット
導入されるのは「シリーズハイブリッド方式」というシステムを採用した車両です。これは、ディーゼルエンジンを走行のためではなく、発電のためだけに使用するのが特徴です。エンジンで発電した電気を蓄電池に貯めたり、直接モーターに送ったりして、モーターの力で走行します。電車に近い仕組みであり、従来の気動車のような変速ショックのない、滑らかで静かな乗り心地が期待されます。
駅での停車中にはエンジンを停止するアイドリングストップも可能になるため、環境負荷の低減や客室の静粛性向上に大きく貢献します。
導入スケジュールと注意点
計画によると、2025年12月に量産先行車が登場し、各種試験を行った後、2027年度から本格的な量産が始まる予定です。
一方で、注意点として、この新型車両は「2両固定編成」を基本としている点が挙げられます。現在の1500形のように1両単位で運行できる柔軟性と比較すると、最も輸送量の少ない区間や時間帯での運用がどう変わるのかは、注目すべきポイントです。これは、究極の柔軟性よりも、標準化によるメンテナンスコスト削減などを優先した結果と考えられ、今後の地方交通のあり方を示す一つの方向性かもしれません。
項目 | 仕様(計画) |
駆動方式 | シリーズハイブリッド |
編成 | 2両固定編成 |
最高速度 | 100 km/h |
製造会社 | 近畿車輛株式会社 |
先行車完成 | 2025年12月(予定) |
量産車導入 | 2027年度から(予定) |
【まとめ】進化する徳島線 車両情報
- 徳島線の普通列車は主に3形式が活躍
- 1500形は環境性能とバリアフリーを両立した主力
- 1200形は既存の1000形を改造した実用的な車両
- 1500形と1200形は連結して柔軟に運用される
- キハ47形は国鉄時代に設計された最古参の車両
- 特急剣山は国鉄末期の傑作キハ185系で運行
- キハ185系は高徳線特急うずしおと共通で運用
- 週末にはゆうゆうアンパンマンカーが増結されることがある
- 藍よしのがわトロッコは藍染がテーマの体験型観光列車
- トロッコ車両と特急車両のユニークな2両編成で走る
- かつてはキハ58系が急行よしの川として活躍した
- 2025年以降に次世代の新型ハイブリッド車両が登場予定
- 新型車両はエンジンで発電しモーターで走る仕組み
- 次世代車両は2両固定編成が基本となる計画
- 車両の重要な整備は主に高松運転所が担っている