こんにちは。Shikokuレールノート 運営者の「よんてつ」です。
東京から愛媛県の松山へ行こうと考えたとき、飛行機や新幹線ではなく、あえて寝台特急「サンライズ瀬戸」を選びたいという方は多いのではないでしょうか。夜に出発して、朝には四国にいる。そんな旅のロマンを感じる素晴らしい選択ですが、いざ計画を立てようとすると、松山までの正確な料金や所要時間、そして「サンライズは松山まで行かないから、どこかで乗り換える必要がある」という事実に直面し、不安になることもあるでしょう。
「坂出駅と高松駅、どっちで乗り換えるのが正解なの?」
「ツアーと個人手配、どっちが得?」
「結局、総額でいくらかかるの?」
このような疑問を持つ方に向けて、実際に四国の鉄道を日常的に乗り回し、サンライズ瀬戸も何度も利用している私が、2025年11月現在の最新事情と実体験を踏まえて徹底解説します。
- サンライズ瀬戸で松山へ行く際の、疲れ知らずの「最適乗継駅」とその根拠
- 乗継割引廃止後の「正確な料金」と、少しでも安く抑える考え方
- 「個室シングル」と「ノビノビ座席」の設備比較と、翌日の観光への影響
- 飛行機や新幹線と比較した際の、サンライズならではのメリットとデメリット
サンライズ瀬戸で松山へ向かう乗り換え戦略
ご存知の通り、サンライズ瀬戸の終点は「高松駅(香川県)」です。そのため、松山へ行くには必ず四国島内で特急列車に乗り換える必要があります。実は、この「乗り換え」をどこでするかが、旅の快適度を大きく左右する重要なポイントなんです。ここでは、ガイドブックには載っていないリアルな戦略や、気になるお金の話、そして実際の車内環境について深掘りしていきます。

乗り換えは坂出駅より高松駅が最適
まず、この記事で最も強くお伝えしたい結論から申し上げます。松山へ向かう際、乗換案内アプリや地図を見ると、手前の「坂出(さかいで)駅」で降りて特急に乗り換えるルートが表示されることが多いですが、松山へ行くなら、絶対に終点の「高松駅」まで乗ってください。
「えっ、坂出の方が松山に近いし、わざわざ高松まで行って戻るなんて時間の無駄じゃない?」と思われるかもしれません。私も最初はそう思っていました。しかし、現場のロジスティクスを知ると、坂出乗り換えがいかにリスクが高いかが分かります。
なぜ坂出駅乗り換えが推奨されないのか
坂出駅でサンライズ瀬戸を降りると、到着時刻は朝の7時10分頃です。しかし、次に接続する松山行きの「特急いしづち1号」がホームに来るのは7時51分。つまり、約41分間もの待ち時間が発生するのです。
坂出駅は高架駅で、ホームは風を遮るものが少なく、特に冬場の早朝は身を切るような寒さです。夏場は逆に蒸し暑さが襲います。改札を出ても、早朝から開いているのは駅構内のセブンイレブンくらいで、時間を潰せるカフェなどは改札外へ少し歩かないとありません。40分間、重い荷物を持ってホームや簡素な待合室で過ごすのは、旅の始まりとしてあまりに過酷です。
高松駅乗り換えが「正解」である理由
一方、終点の高松駅までサンライズ瀬戸に乗っていれば、到着は7時27分。暖かい車内でゆっくりと荷物をまとめ、高松駅のホームに降り立つことができます。そして、私たちが乗るべき「特急いしづち1号」は、ここ高松駅が始発で、7時37分に出発します。
乗り換え時間は約10分。これが絶妙なんです。高松駅は「頭端式(とうたんしき)」と呼ばれる、すべてのホームが平面で繋がっている構造をしています。階段を上り下りする必要がなく、スーツケースを転がしながら隣のホームへ移動するだけで乗り換えが完了します。
高松乗り換えの圧倒的メリット
- 始発駅の特権:「いしづち1号」は高松始発なので、入線済みの列車に余裕を持って乗車できます。自由席でも座れる確率が格段に高く、指定席利用の場合でも、大きな荷物を置くスペースを確実に確保できます。
- 温度管理された移動:サンライズの車内(快適)から、すぐに特急いしづちの車内(快適)へ移動できるため、外気温にさらされる時間が最小限で済みます。
- 精神的な余裕:万が一サンライズが数分遅れても、始発駅なので接続待ちをしてくれる可能性が高く、同一ホームや隣接ホームでの乗り換えなので焦る必要がありません。
坂出で降りて寒い中40分待つよりも、高松まで快適に移動し、始発列車に余裕を持って乗り込む。所要時間は変わらず、体力の消耗が全く違います。これが、私が高松乗継を強く推す理由です。ただしサンライズが、例えば30分遅れた場合などの場合は坂出で降車し、いしづち1号に乗り継ぐなど臨機応変に対応する事は出来そうですね。
料金の内訳と乗継割引廃止の影響

次に、お財布事情についてお話しします。ここ数年でJRの運賃・料金制度が大きく変わり、以前の旅行記や古いブログ記事の情報を信じていると「あれっ、思ったより高い?」と窓口で青ざめることになりかねません。
最も大きな変更点は、2023年春に実施された「乗継割引の廃止」です。かつては、サンライズ瀬戸から四国内の特急に乗り継ぐ場合、特急いしづちの料金が半額になるという大変お得な制度がありました。しかし、現在はその割引が完全に廃止されています。さらに、JR四国独自の運賃改定もあり、全体的にコストベースは上がっています。
では、2025年現在、東京(都区内)から松山まで、標準的な「サンライズ瀬戸(シングル個室)」+「特急いしづち(指定席)」を利用した場合の片道料金をシミュレーションしてみましょう。
| 費目 | 金額(概算) | 詳細・備考 |
|---|---|---|
| 運賃(乗車券) | 約12,870円 | 東京都区内〜松山(経由:東海道・山陽・予讃) ※長距離逓減制が適用されるため、通しで買うのがお得です。 |
| 特急料金(サンライズ) | 3,300円 | 東京〜高松間の特急料金 |
| 寝台料金(シングル) | 7,700円 | B寝台個室(1人用標準タイプ) |
| 特急料金(いしづち) | 2,730円 | 高松〜松山(指定席・通常期) ※乗継割引なしの満額請求となります |
| 合計 | 約26,600円 | ※繁忙期・閑散期により数百円変動します |
【重要】特急料金の変動について
上記の金額は通常期のものです。JRでは「最繁忙期」「繁忙期」「閑散期」が設定されており、指定席特急料金がそれぞれ±200円〜400円程度変動します。特にゴールデンウィークやお盆、年末年始は高くなりますので、正確な金額は必ず「e5489」等の予約サイトで確認してください。
片道で約26,600円。往復だと53,000円を超えます。「寝ながら移動できる」という付加価値はあるものの、単なる移動手段として見ると、決して安くない金額です。以前のように「新幹線より少し高い程度で乗れるお得な列車」という認識は捨てて、「プレミアムな移動体験への投資」と捉えるのが精神衛生上よいでしょう。
東京から松山への所要時間とダイヤ
「高いお金を払ってでも乗る価値があるのか?」を判断するために、時間の使い方も見ていきましょう。
サンライズ瀬戸の東京駅出発は21時50分です。仕事終わりにも乗れる絶妙な時間設定ですね。横浜、熱海、沼津…と停車し、夜通し西へ走ります。そして、高松駅には翌朝7時27分に到着します。
先ほど推奨した通り、高松駅で7時37分発の「特急いしづち1号」に乗り継ぐと、終点の松山駅には10時06分に到着します。
午前10時着がもたらす観光のメリット
この「10時過ぎに松山着」というのは、観光において非常に強力な武器になります。
- ホテルの活用:松山駅に到着後、すぐにホテルへ向かえば、チェックイン前でも荷物を預かってもらえます。身軽になって観光をスタートできます。
- 道後温泉一番風呂:松山駅から路面電車で道後温泉へ向かえば、11時前には到着します。午前中の比較的空いている時間帯に、歴史ある「道後温泉本館」のお湯に浸かるという贅沢が可能です。
- 松山城散策:お昼ご飯の前に、ロープウェイで松山城へ。天守閣からの眺めを楽しんでから、城下町で鯛めしランチ、という完璧な動線が組めます。
飛行機の始発便でも近い時間に到着することは可能ですが、4時起きや5時起きが必要です。一方、サンライズならしっかり睡眠をとった上でこの時間に到着できる。これが最大の強みですね。
瀬戸大橋通過時の景色について
サンライズ瀬戸が瀬戸大橋を通過するのは、年間を通して朝の6時55分〜7時05分頃です。この時間帯の景色は季節によって大きく異なります。
・春〜秋(日の出 5時〜6時頃):
すでに太陽は昇っており、朝の光に照らされた青い海と、緑豊かな島々のコントラストが楽しめます。
・冬場(日の出 7時頃):
通過時刻と日の出が重なるベストシーズンです。海面から太陽が顔を出し、瀬戸内海が黄金色に染まる幻想的な瞬間に出会える可能性があります。
個室シングルの設備と宿泊体験

サンライズ瀬戸にはいくつかの座席(寝台)タイプがありますが、松山まで行く長旅であれば、迷わず「シングル(B寝台個室)」を選びましょう。
「シングル」は、サンライズ瀬戸の主力となる1人用個室です。カプセルホテルのような「寝るだけ」の狭い空間を想像されるかもしれませんが、実際に入ってみると、大人が中で立って着替えができる天井の高さがあり、秘密基地のようなワクワク感があります。
シングルの車内設備詳細
- ベッド:幅は約70cm。ホテルのシングルベッドよりは狭いですが、寝返りは十分打てます。マットレスもしっかりしており、シーツ、掛け布団、枕、浴衣が用意されています。
- プライバシー:内側から鍵がかかるのはもちろん、外に出る際も暗証番号式のテンキーロックで施錠できます。女性の一人旅でも安心して利用できます。
- 電源・アメニティ:コンセントが1口ありますので、スマホの充電も安心です。スリッパ、紙コップ、小さなテーブルもあり、PCを広げて少し作業をしたり、晩酌を楽しんだりするには十分なスペースです。
まさに「走るビジネスホテル」です。ただし、ホテルと違うのは「揺れ」と「音」です。電車のジョイント音(ガタンゴトン)が子守唄になる人には最高ですが、音に敏感な方は、耳栓やアイマスクを持参すると、より快適に眠れるでしょう。
ちなみに、個室についてよりマニアックな情報を知りたい方は、JR西日本の車両案内ページなども参考にしてみてください。(出典:JR西日本『サンライズ瀬戸・出雲 285系 車両案内』)
ノビノビ座席の値段と疲労度

一方で、少しでも安く行きたいと考える方が検討するのが「ノビノビ座席」です。こちらは「寝台」ではなく「座席」扱いとなるため、寝台料金(約7,700円)が不要です。
具体的には、指定席特急料金(通常期で3,830円程度)だけで利用できるため、運賃と合わせても片道約16,000円程度で松山まで移動できます。シングルの場合より約7千円近く安くなる計算です。
安さの代償は「翌日の体力」
しかし、その実態は「カーペット敷きの雑魚寝スペース」です。隣の人とは頭の部分に小さな仕切りがあるだけで、横にはなれますが、プライバシーはほぼありません。通路側にはカーテンすらなく、夜中に通路を歩く人の気配や光も入ってきます。
そして何より、床が硬いです。薄いシーツのようなものはありますが、マットレスはありません。若い学生さんの貧乏旅行なら良い思い出になりますが、社会人が翌日の松山観光をフルに楽しみたいなら、私は強く「個室」をおすすめします。ノビノビ座席で熟睡できず、翌日ヘトヘトになってしまっては、せっかくの松山旅行が台無しになりかねないからです。

サンライズ瀬戸の松山ルートと競合比較
ここまでサンライズ瀬戸の魅力をお伝えしてきましたが、冷静な視点で「飛行機」や「新幹線」と比較することも大切です。旅の目的や優先順位によっては、サンライズが最適解ではない場合もあるからです。

飛行機や新幹線と運賃を比較検証
東京から松山への移動手段として、コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスを比較してみましょう。
1. 飛行機(羽田ー松山)
【特徴】圧倒的な速さと、早割の安さ
羽田から松山空港まではフライトで約1時間半。空港へのアクセスを含めても4時間程度で到着します。料金も、ANAやJALの早割(スーパーバリュー等)を28日前までに予約すれば、12,000円〜18,000円程度で済むことが多いです。
経済合理性だけで言えば、飛行機が最強です。サンライズ瀬戸の半額近い値段で、3倍速く着きます。
2. 新幹線+特急しおかぜ(岡山乗り換え)
【特徴】本数の多さと柔軟性
東京から「のぞみ」で岡山へ行き、そこから特急「しおかぜ」に乗り換えるルートです。所要時間は約6時間半。料金は約21,000円です。
このルートの強みは「1時間に1本以上ある」という頻度です。サンライズは1日1便、飛行機も便数が限られますが、新幹線なら「乗り遅れても次がある」という安心感があります。ビジネス利用や、急な予定変更に対応したい場合はこちらが便利です。
比較の結論
「安さ」や「速さ」を最優先するなら、迷わず飛行機の早割を取るべきです。
サンライズ瀬戸を選ぶべきなのは、以下のような方です。
・「寝台列車に乗る」という体験自体を目的とする人
・金曜の夜に出発して、土曜の朝から時間を有効に使いたい人
・飛行機が苦手、または空港の手続きが面倒な人
予約を確実にする10時打ちの重要性

「よし、サンライズで行こう!」と決めたあなたに、立ちはだかる最大の壁が「きっぷの確保」です。サンライズ瀬戸、特に週末の個室は非常に人気が高く、プラチナチケット化しています。
きっぷの発売は、乗車日の1ヶ月前の午前10時からです。人気の「シングルデラックス」や2人用個室「サンライズツイン」、そして「シングル」の条件の良い部屋(2階席など)は、発売開始から数秒で売り切れることも珍しくありません。
確実に取るためには、いわゆる「10時打ち」(駅の「みどりの窓口」で、10時ジャストに発券操作をしてもらうこと)をお願いするか、JR西日本のネット予約サービス「e5489」を利用して、発売開始時刻と同時にクリック合戦に挑む必要があります。
「松山旅行の日程が決まったら、まずは宿よりも何よりも、サンライズの切符確保」これが鉄則です。もし取れなかった場合のバックアップとして、飛行機の予約も並行して検討しておくのが賢い旅人の知恵です。

特急いしづちの揺れと座席指定

高松から松山まで乗車する「特急いしづち(予讃線)」についても、少しマニアックな車両の話をしておきます。
サンライズ瀬戸から接続する「いしづち1号」には、基本的に流線型の8000系電車が使用されます。この車両は「制御付自然振り子」という仕組みを採用しており、カーブに合わせて車体を大きく傾けることで、遠心力を打ち消しながら走行します。
実はこれ、非常に優秀な機構なんです。新しい車両(8600系など)は「空気バネ」で車体を持ち上げる方式ですが、傾斜角度が浅いため、カーブで遠心力を消しきれず、体が外に持っていかれるような「グワグワ」とした揺れを感じることがあります。対して、この8000系はグイッと深く傾くため、カーブでも体にGがかかりにくく、スピードの割に安定した乗り心地を提供してくれます。古株ですが、予讃線のカーブにはこの8000系がベストマッチだと私は思います。
おすすめの座席は「A席」
また、座席を指定する際は、ぜひ進行方向右側の「A席」を確保してください。こちら側が海側となります。特に海岸寺〜詫間の間や、詫間〜観音寺の間などで、車窓いっぱいに広がる穏やかな瀬戸内海を楽しむことができます。特急しおかぜのおすすめ座席を見つける方法についても別の記事で詳しく紹介していますので、興味のある方は合わせてご覧ください。
車内販売はないので食事は事前購入

最後に、食料事情について。これは非常に重要なサバイバル情報です。
サンライズ瀬戸には、食堂車も車内販売もありません。あるのは飲み物の自動販売機(ソフトドリンクのみ)だけです。
「お腹が空いたら車内で何か買えばいいや」と思っていると、翌朝までひもじい思いをすることになります。必ず東京駅で乗車前に、夕食(駅弁)、翌朝の朝食、おつまみ、お酒、お水をすべて買い込んでから改札を通ってください。
また、高松駅での乗り換え時間も10分しかありません。現在、高松駅の改札内にはうどん店などの飲食店はなく、あるのは「セブンイレブン Kiosk」のみです。しかし、10分という短時間で、朝の混雑したレジに並んで買い物をするのは非常にリスクが高いです(乗り遅れる可能性があります)。高松駅での買い物は期待せず、東京駅ですべて完結させておくのが唯一の安全策です。
完璧な買い出しリスト
・夕食(東京駅の駅弁屋「祭」などで購入)
・晩酌用のお酒とおつまみ(旅の醍醐味です)
・翌朝の軽食(おにぎりやサンドイッチなど、日持ちするもの)
・ミネラルウォーターやお茶(車内の自販機は売り切れのリスクもあるため、1〜2本持参が吉)
サンライズ瀬戸で松山へ行く旅の価値
ここまで、料金の高さやチケットの取りにくさ、乗り換えの手間など、ネガティブな側面も含めて正直に解説してきました。「こんなに大変なら、飛行機でいいや」と思った方もいるかもしれません。
それでも私がこのルートをおすすめするのは、やはり「旅のドラマチックさ」において、他の交通手段の追随を許さないからです。
東京の夜景を眺めながら個室で乾杯し、車輪の響きを聞きながら眠りに落ちる。目が覚めると、そこはもう西日本。朝日に輝く瀬戸内海を渡り、四国に上陸する高揚感。そして、特急列車に乗り換えて、海を眺めながら松山へとアプローチしていく…。この一連のプロセスそのものが、単なる「移動」ではなく、一つの壮大な「アトラクション」なのです。
松山駅に降り立ったとき、「ああ、遠くまで来たなあ」という心地よい実感と達成感に包まれているはずです。効率重視の現代だからこそ、あえて時間をかけて旅をする贅沢。ぜひ、次の松山旅行ではサンライズ瀬戸という選択肢を検討してみてください。きっと、一生忘れられない思い出になるはずです。

